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試着室
偶然みつけてしまいました。
実家から県庁所在地のある〇〇市へ向かう途中の国道沿いです。
2階建ての商業施設の中に、そのお店はありました。
大きな建物ですが、ショッピングモールと呼ぶほどのオシャレ感はありません。
1Fにはスーパーが入っているようなところです。
平日の昼過ぎの時間帯・・・
人の姿もまばらな感じでした。
2Fのカフェで休憩をしていた私です。
さっき、ぷらっと中を通り抜けてきた同じフロアの洋服屋さんのことが気になってしかたありませんでした。
(あのお店・・・)
経験上わかっていました。
たまたま、条件がすべて整っているのです。
心の中で『いけない気持ち』がもやもやしていました。
いろいろ考えごとをしなければならないのに、まったく集中することができません。
(ああ、どうしよう)
まもなく海外で新生活を迎える予定の私なのですが・・・
日々そのための準備に忙殺される中、最近その『もやもや』の頻度が異常に高くなっているような気がしていました。
(どうしよう)
人生の節目を迎えるにあたって、大きな幸せを感じているのは確かです。
自分でもよくわからないけど・・・
潜在的に、己の生活の変化に対する恐れのような気持ちでもあるのでしょうか。
ある意味では、一種の現実逃避なのかもしれません。
(いいじゃない、日本にいるうちは)
(誰にもバレさえしなければ)
強烈な欲求でした。
だって・・・
やろうと思えば、やれるのですから。
(やっちゃうか)
レジを済ませてカフェを出ました。
まずトイレに行って、念のためメイクを確認します。
(完璧。。。)
直すところなんてありませんでした。
どこからどう見ても『美人』な女が、鏡の中で微笑んでいます。
(だいじょうぶ)
(私には、誰にも負けない武器がある)
気持ちを昂ぶらせました。
鏡の自分をみつめながら、内面から自信がわいてくるのを待ちます。
トイレを出て、まっすぐそのお店に歩いていきました。
カジュアルウェアの洋服屋です。
男性用が6、女性用の服が4ぐらいの割合のお店でした。
さっきと同じく、店内のお客さんはゼロ・・・
店員は、20代後半ぐらいの男性が1人いるだけです。
そして、
(どきどきどき)
あそこの棚にかかっているのは、まぎれもなく水着・・・
そして向こうに見える、入口が『カーテン式』の試着室・・・
(ぜったいできる)
それとなく、近くに並んでいるカットソーを広げてみたりしました。
すぐに、店員くんが近寄ってきます。
「どういったものをお探しですか?」
いかにもマニュアルどおりの声かけをしてきました。
「え・・ああ・・・」
「夏の旅行とかに持っていけるものないかと思って」
にっこりしてあげると、すぐさま説明トークがはじまります。
「そちらの〇〇は、△△ですので」
「ひとつカバンに入れておくと重宝しますよ」
「ふーん」
洗濯方法について尋ねると、
「コットン100ですから・・・」
素材の特性を交えながら丁寧に教えてくれました。
相手の目をみつめながら、真剣に説明を聞くふりをします。
すぐに感じ取っていました。
私を見る、店員くんの微妙な目の動き・・・
話しているときの些細な表情の変化・・・
自意識過剰と非難されるかもしれませんが、私には『感覚的』にわかるのです。
この男の人が、私の容貌に惹かれているということが。
(かかった)
もちろん表面的には、彼は普通に客対応をしているだけです。
不自然な行動は、一切ありません。
「ご旅行は、どちらのご予定ですか?」
彼の販売トークに乗せられたふうに、
「来月、〇〇〇に行くんです」
「行ったことありますか?」
目を輝かせながら『嘘の話』をしている自分がいました。
「いえー、僕はないです」
「いつか行ってみたいですねえー」
今度は別のカットソーを広げてみせます。
「飛行機の中って」
「けっこうエアコンが効きすぎたりしてて」
「あ、それ聞いたことあります」
迷っているふりをしている私の顔を・・・
横から店員くんが眺めているという感じでした。
(いい流れだ)
ふと・・・
一瞬くらっと、よろける演技をしてみせます。
「あ」
商品棚に手を置いて、きゅっと目を閉じました。
そのまま、5秒・・・10秒・・・
そして目を開けます。
戸惑いを浮かべた彼の顔が、そこにありました。
私は、すぐに元どおりになってみせます。
「今朝からちょっと貧血ぎみで」
「ごめんなさい、もうなんでもないです」
「大丈夫ですか?」
すみませんという感じで、にこっと微笑みを返しました。
(よしっ、うまくいった)
何事もなかったかのように・・・
手もとのカットソーを持って、姿見の鏡の前に行きます。
店員くんは、もとの『販売モード』に戻っていました。
カットソーを肩にあてがう私に、
「ご試着もできますよ」
明るい口ぶりで試着室の利用を勧めてきてくれます。
「うーん」
まだちょっと迷ってみせる私・・・
試着室のほうにチラッと目をやって、その手前にある水着に気づいたふりをします。
「あ・・かわいい」
すーっと歩いていって、セパレートのビキニを手に取りました。
けっこう気に入った感じで、
「かわいい・・・」
楽しそうにつぶやいてみせます。
「それ□□なんですよ、かわいいですよね」
店員くんの言葉にうなずいてみせました。
鏡の前に持っていって、服の上からあててみせます。
「〇〇〇に行かれるんでしたら、すごくいいと思いますよ」
自然と顔が火照ってきているのを感じていました。
トップの部分をシャツにあてて、恥ずかしそうにつぶやきます。
「私、あんまり胸がないから」
「そういう体型でビキニとか、どう思います?」
照れたふりをする自分自身に興奮していました。
たぶん、本当に顔が真っ赤になっていたはずです。
「お客様でしたら、お似合いだと思いますよ」
赤の他人に、
「私の胸だと、カップが浮いたりして」
「見えそうになるのが怖くって」
自分の口から、何度もコンプレックスを告白している私・・・
(相手は男なのに)
相談しながら耳まで熱くなっていました。
恥ずかしそうにしている私の表情に、
「サイズさえ合っていれば大丈夫ですよ」
明らかに目尻が下がっている、店員くんのスマイル・・・
(いやらしい)
遠慮がちに、
「水着も試着できるんですか?」
顔を真っ赤にしたまま、彼に尋ねます。
「はい、・・・ぜひぜひ」
店内にいる客は、私一人でした。
完全にマンツーマン状態になっています。
彼が、引き出しのようなところを開けていました。
試着時につける、使い捨ての『紙のショーツ』を手渡してくれます。
あくまでも店員として・・・
でも、瞳がけっこう嬉しそうでした。
目の前の『美人』が、水着を試着したいと望んでいるのです。
パンプスを脱いで試着室に入りました。
店員くんが、きちんとカーテンを閉めてくれます。
「シャッ」
荷物置き代わりの、小さなイスがありました。
その上にバッグを置いて、着ている服を全部脱ぎます。
持ち込んだこの水着が、私には大きすぎるサイズなのは最初からわかっていました。
いちど全裸になってから紙ショーツをつけます。
その上に、ビキニのパンツをはきました。
ビキニのトップもつけますが、明らかにカパカパです。
彼との直前のやりとりが効いていました。
胸の小ささを気にしてみせたことで、
(ああ、恥ずかしいよ)
あの店員くんに対して、私はすでに羞恥の気持ちでいっぱいです。
カーテンを少しだけ開けました。
首だけを外に伸ばす感じで、
「すみません」
ちょっと離れたところに控えていた彼に、声をかけます。
「これのもうひとつ小さいサイズの」
「・・・持ってきていただけますか?」
店員くんが、
「はい、お待ちください」
在庫を調べに(?)、さっと奥へと走ってくれました。
その隙に・・・
バッグの中に入れたまま、
「ぴこん」
スマホのムービー録画をスタートさせます。
(どきどきどき)
罪悪感がありました。
でも、もう自分でもやめることができません。
彼が、サイズ違いの水着のハンガーを持って来てくれました。
「ありがとうございます」
手を伸ばして受け取りながら、一瞬ちらっと相手に水着姿を見られます。
またカーテンを閉めて・・・
(どきどきどき)
すでに、私の緊張はマックスになっていました。
(やばい)
(ひざが震えてる・・・)
受け取った水着は、そのまま床に置きます。
はいていたビキニのパンツを脱ぎました。
録画動作中のスマホを取り出して、バッグの横ポケットに差し込みます。
角度を計算しながら、向きを調整しました。
カーテンのすぐ内側のところで、床に直接ぺたんと座りこみます。
背中を壁にもたれました。
紙ショーツの後ろをずり下ろして、いわゆる半けつ状態(?)にします。
(あんなにしゃべった相手なのに)
(ずっと顔を突き合わせてたのに)
この店員さんの前でなんて、あまりにも背徳的な気持ちでした。
そして、そんな自分に内心の興奮を抑えることができません。
(たぶん、これが)
(本当の最後・・・)
ワンチャンスと決めていました。
「ばん!」
左足で正面の壁を蹴ります。
同時に、
「どん!」
後ろの壁に自分の背中をぶつけました。
派手に音をたてておきながら・・・
そのまま沈黙してみせます。
右足を横に伸ばしました。
カーテンの下から、だらんと足首を外にはみ出させます。
(どきどきどき)
ものの数秒で、
「お客様!?」
店員くんが駆け寄ってくる気配がありました。
カーテンの下から飛び出させた足首を引っ込めます。
そして、なおも無言でいる私・・・
「どうされました?」
「だいじょうぶですか?」
演技しながら、罪悪感に胸が痛みます。
(ごめんなさい、ごめんなさい)
(仮病なの・・・貧血のふりなの)
「う・・・う」
それとなく苦しそうな声を漏らしてみせました。
「お客様?」
「開けさせていただいてよろしいですか?」
困惑が伝わってくる問いかけに、
「あ・・あ・・・は、い・・・」
あえて拒否をせず、相手がカーテンを開けてしまうように促します。
「失礼します」
真横にあるカーテンが、半分ほど開かれて・・・
彼の目に映ったのは、試着室の中でへたりこんでいる私・・・
店員くんが、瞬間的に固まってしまっていました。
「すみ・・ま、せん」
「また、ひんけつ・・が・・・」
ゆらゆらと手を差し出してみせると・・・
慌てた感じで、
「大丈夫ですか?」
ひざをつくようにして寄り添ってきてくれます。
「はあ、はあ、はあ・・・」
彼の腕をぎゅっとつかんで、
「ごめん、なさい」
「すぐ、なおる・・から・・・」
じっとしたまま、つらそうに唇をかみしめる私・・・
大きすぎるビキニのトップが、せつなく胸から浮いていました。
その内側は、完全にすかすかです。
「はあ、はあ、はあ・・・」
店員くんは、すぐに気づいたようでした。
ちょっと覗きこむだけで、
(ああん)
目の前には、この女の貧弱なおっぱい・・・
その小ささが仇となって、かわいそうに乳首まで見えてしまっています。
(あああ、見てる)
私に腕をつかませてくれたまま、
「無理しないでください」
「大丈夫ですから」
やさしく声をかけてくれている店員くん・・・
(恥ずかしいよう、見ないでえ)
ものすごく興奮しました。
さりげなく首を伸ばすようにして、私の胸もとを覗きこんでいるのがわかります。
これほどの『美人』が、
(だめ、だめえ)
下半身には、ちゃちな紙ショーツひとつ・・・
かわいそうな女になりきりました。
涙を浮かべて、
「はあ・・・はあ・・・」
つらそうに口で息をしています。
彼の腕を放して、両手を床につきました。
苦しげな顔のまま上体をゆらゆらさせてみせます。
床にへたりこんだまま、われながら迫真の演技でした。
このまま横たわってしまいたい・・・
でも、そんなことできない・・・
いかにもそんな感じで、必死につらさに耐えているふりをします。
そして、
「ご、め・・・」
「ごめんな・・さい」
少しでも楽な姿勢ができるようにと・・・
奥のほうへ這おうとするみたいに、からだをよじらせました。
でも、
「はあ、はあ、はあ・・・」
ほとんど動けずに、そのまま小さくからだを丸めてしまう『この女』・・・
あわれにも、紙ショーツが腰からずりさがっています。
(あああん)
興奮の頂点でした。
真後ろには、男性の店員くん・・・
(いやん、いやん)
床にうずくまったまま、
「はあ・・・はあ・・・」
私は、生身のお尻をぺろんと出してしまっています。
(恥ずかしい。。。)
見えてしまっているはずでした。
お尻の真ん中のその下に・・・
この女の、デリケートな『割れ目』の部分が。
「はああ・・・はああ・・・」
羞恥心に、胸を掻きむしられます。
朦朧としたふりを装って、
「うぅぅ」
そのまま自分の『あそこ』を見させていました。
アンモラルな快感に、脳がとろけていく私・・・
(恥ずかしいよう)
後ろからは、
「大丈夫ですか?」
ちゃんと彼の声が耳に届いてきています。
誰にも気づかれることなく・・・
背後から、いくらでも見放題の店員くん・・・
(お尻の穴が・・恥ずかしいよ・・・)
肛門もまる見え状態のまま、1分ぐらい・・・?
身動きもせずに、
「はあ・・はあ・・はあ・・・」
そうやって朦朧としたふりを続けました。
(あああ・・・だめえ・・・)
自尊心を掻きむしられながら、
(どきどきどきどき)
この屈辱のひとときに、非日常の興奮を味わいます。
(だめえ、耐えられない)
(もうイヤぁ・・・)
ゆるゆると上半身を起こしました。
店員くんが『さっ』と立って、離れているのがわかります。
(どきどきどき)
泣くのをこらえるのに必死でした。
「少し・・・」
「落ち着いて・・きました・・」
涙目の顔を向けて、
「ごめん・・なさい・・・」
本当に申し訳なさそうに謝ってみせます。
(こんなに)
(キレイな顔した女だよ)
「いえいえ」
「よかったあ、大丈夫ですか?」
(見てたくせに)
すっとぼけている彼に、
(ばか・・ばか・・・)
けなげにも、素直にうなずいてみせる『この女』・・・
(イヤあん、もうだめ)
カーテンを閉めて、服を着ました。
恥ずかしすぎて、
(あああ・・・あああ・・・)
本当に、いまにも気が狂ってしまいそうです。
荷物をまとめました。
試着室から出てパンプスをはきます。
「大丈夫そうですか?」
心配そうに声をかけてくれる店員くんに、水着を返しました。
「ごめんなさい」
「今日は、やめておきます」
まともに相手の顔を見ることができません。
それでも、
「本当にごめんなさい」
「ちょっと疲れがたまってるのかな」
勇気を振り絞って、会話を交わしてみせる私・・・
儚げに微笑みを浮かべた『いい人』のまま、お店をあとにしました。
(どきどきどき)
限界です。
抑えていた感情があふれかえってきました。
エスカレーターですれ違いになるおじさんが・・・
涙をぼろぼろ流している私に気づいて、驚いた顔をしています。
駐車場に戻って、自分の車に乗りこみました。
そのまま運転席で泣き崩れます。
(恥ずかしいよ)
強烈な刺激と、羞恥心と・・・猛烈な屈辱感と・・・
思いっきり泣くことで、いつまでも興奮の余韻を噛みしめていました。
(よかった)
(・・・無事で)
ようやく気持ちが落ちついてきます。
バッグからスマホを取り出しました。
ムービーを再生してみます。
そこに映っている、
(いやんいやん、変態)
あの店員くんの『本当の顔』・・・
(やめて、やめて)
背筋をぞくぞくさせながら、小さな画面に見入ってしまう私でした。
実家から県庁所在地のある〇〇市へ向かう途中の国道沿いです。
2階建ての商業施設の中に、そのお店はありました。
大きな建物ですが、ショッピングモールと呼ぶほどのオシャレ感はありません。
1Fにはスーパーが入っているようなところです。
平日の昼過ぎの時間帯・・・
人の姿もまばらな感じでした。
2Fのカフェで休憩をしていた私です。
さっき、ぷらっと中を通り抜けてきた同じフロアの洋服屋さんのことが気になってしかたありませんでした。
(あのお店・・・)
経験上わかっていました。
たまたま、条件がすべて整っているのです。
心の中で『いけない気持ち』がもやもやしていました。
いろいろ考えごとをしなければならないのに、まったく集中することができません。
(ああ、どうしよう)
まもなく海外で新生活を迎える予定の私なのですが・・・
日々そのための準備に忙殺される中、最近その『もやもや』の頻度が異常に高くなっているような気がしていました。
(どうしよう)
人生の節目を迎えるにあたって、大きな幸せを感じているのは確かです。
自分でもよくわからないけど・・・
潜在的に、己の生活の変化に対する恐れのような気持ちでもあるのでしょうか。
ある意味では、一種の現実逃避なのかもしれません。
(いいじゃない、日本にいるうちは)
(誰にもバレさえしなければ)
強烈な欲求でした。
だって・・・
やろうと思えば、やれるのですから。
(やっちゃうか)
レジを済ませてカフェを出ました。
まずトイレに行って、念のためメイクを確認します。
(完璧。。。)
直すところなんてありませんでした。
どこからどう見ても『美人』な女が、鏡の中で微笑んでいます。
(だいじょうぶ)
(私には、誰にも負けない武器がある)
気持ちを昂ぶらせました。
鏡の自分をみつめながら、内面から自信がわいてくるのを待ちます。
トイレを出て、まっすぐそのお店に歩いていきました。
カジュアルウェアの洋服屋です。
男性用が6、女性用の服が4ぐらいの割合のお店でした。
さっきと同じく、店内のお客さんはゼロ・・・
店員は、20代後半ぐらいの男性が1人いるだけです。
そして、
(どきどきどき)
あそこの棚にかかっているのは、まぎれもなく水着・・・
そして向こうに見える、入口が『カーテン式』の試着室・・・
(ぜったいできる)
それとなく、近くに並んでいるカットソーを広げてみたりしました。
すぐに、店員くんが近寄ってきます。
「どういったものをお探しですか?」
いかにもマニュアルどおりの声かけをしてきました。
「え・・ああ・・・」
「夏の旅行とかに持っていけるものないかと思って」
にっこりしてあげると、すぐさま説明トークがはじまります。
「そちらの〇〇は、△△ですので」
「ひとつカバンに入れておくと重宝しますよ」
「ふーん」
洗濯方法について尋ねると、
「コットン100ですから・・・」
素材の特性を交えながら丁寧に教えてくれました。
相手の目をみつめながら、真剣に説明を聞くふりをします。
すぐに感じ取っていました。
私を見る、店員くんの微妙な目の動き・・・
話しているときの些細な表情の変化・・・
自意識過剰と非難されるかもしれませんが、私には『感覚的』にわかるのです。
この男の人が、私の容貌に惹かれているということが。
(かかった)
もちろん表面的には、彼は普通に客対応をしているだけです。
不自然な行動は、一切ありません。
「ご旅行は、どちらのご予定ですか?」
彼の販売トークに乗せられたふうに、
「来月、〇〇〇に行くんです」
「行ったことありますか?」
目を輝かせながら『嘘の話』をしている自分がいました。
「いえー、僕はないです」
「いつか行ってみたいですねえー」
今度は別のカットソーを広げてみせます。
「飛行機の中って」
「けっこうエアコンが効きすぎたりしてて」
「あ、それ聞いたことあります」
迷っているふりをしている私の顔を・・・
横から店員くんが眺めているという感じでした。
(いい流れだ)
ふと・・・
一瞬くらっと、よろける演技をしてみせます。
「あ」
商品棚に手を置いて、きゅっと目を閉じました。
そのまま、5秒・・・10秒・・・
そして目を開けます。
戸惑いを浮かべた彼の顔が、そこにありました。
私は、すぐに元どおりになってみせます。
「今朝からちょっと貧血ぎみで」
「ごめんなさい、もうなんでもないです」
「大丈夫ですか?」
すみませんという感じで、にこっと微笑みを返しました。
(よしっ、うまくいった)
何事もなかったかのように・・・
手もとのカットソーを持って、姿見の鏡の前に行きます。
店員くんは、もとの『販売モード』に戻っていました。
カットソーを肩にあてがう私に、
「ご試着もできますよ」
明るい口ぶりで試着室の利用を勧めてきてくれます。
「うーん」
まだちょっと迷ってみせる私・・・
試着室のほうにチラッと目をやって、その手前にある水着に気づいたふりをします。
「あ・・かわいい」
すーっと歩いていって、セパレートのビキニを手に取りました。
けっこう気に入った感じで、
「かわいい・・・」
楽しそうにつぶやいてみせます。
「それ□□なんですよ、かわいいですよね」
店員くんの言葉にうなずいてみせました。
鏡の前に持っていって、服の上からあててみせます。
「〇〇〇に行かれるんでしたら、すごくいいと思いますよ」
自然と顔が火照ってきているのを感じていました。
トップの部分をシャツにあてて、恥ずかしそうにつぶやきます。
「私、あんまり胸がないから」
「そういう体型でビキニとか、どう思います?」
照れたふりをする自分自身に興奮していました。
たぶん、本当に顔が真っ赤になっていたはずです。
「お客様でしたら、お似合いだと思いますよ」
赤の他人に、
「私の胸だと、カップが浮いたりして」
「見えそうになるのが怖くって」
自分の口から、何度もコンプレックスを告白している私・・・
(相手は男なのに)
相談しながら耳まで熱くなっていました。
恥ずかしそうにしている私の表情に、
「サイズさえ合っていれば大丈夫ですよ」
明らかに目尻が下がっている、店員くんのスマイル・・・
(いやらしい)
遠慮がちに、
「水着も試着できるんですか?」
顔を真っ赤にしたまま、彼に尋ねます。
「はい、・・・ぜひぜひ」
店内にいる客は、私一人でした。
完全にマンツーマン状態になっています。
彼が、引き出しのようなところを開けていました。
試着時につける、使い捨ての『紙のショーツ』を手渡してくれます。
あくまでも店員として・・・
でも、瞳がけっこう嬉しそうでした。
目の前の『美人』が、水着を試着したいと望んでいるのです。
パンプスを脱いで試着室に入りました。
店員くんが、きちんとカーテンを閉めてくれます。
「シャッ」
荷物置き代わりの、小さなイスがありました。
その上にバッグを置いて、着ている服を全部脱ぎます。
持ち込んだこの水着が、私には大きすぎるサイズなのは最初からわかっていました。
いちど全裸になってから紙ショーツをつけます。
その上に、ビキニのパンツをはきました。
ビキニのトップもつけますが、明らかにカパカパです。
彼との直前のやりとりが効いていました。
胸の小ささを気にしてみせたことで、
(ああ、恥ずかしいよ)
あの店員くんに対して、私はすでに羞恥の気持ちでいっぱいです。
カーテンを少しだけ開けました。
首だけを外に伸ばす感じで、
「すみません」
ちょっと離れたところに控えていた彼に、声をかけます。
「これのもうひとつ小さいサイズの」
「・・・持ってきていただけますか?」
店員くんが、
「はい、お待ちください」
在庫を調べに(?)、さっと奥へと走ってくれました。
その隙に・・・
バッグの中に入れたまま、
「ぴこん」
スマホのムービー録画をスタートさせます。
(どきどきどき)
罪悪感がありました。
でも、もう自分でもやめることができません。
彼が、サイズ違いの水着のハンガーを持って来てくれました。
「ありがとうございます」
手を伸ばして受け取りながら、一瞬ちらっと相手に水着姿を見られます。
またカーテンを閉めて・・・
(どきどきどき)
すでに、私の緊張はマックスになっていました。
(やばい)
(ひざが震えてる・・・)
受け取った水着は、そのまま床に置きます。
はいていたビキニのパンツを脱ぎました。
録画動作中のスマホを取り出して、バッグの横ポケットに差し込みます。
角度を計算しながら、向きを調整しました。
カーテンのすぐ内側のところで、床に直接ぺたんと座りこみます。
背中を壁にもたれました。
紙ショーツの後ろをずり下ろして、いわゆる半けつ状態(?)にします。
(あんなにしゃべった相手なのに)
(ずっと顔を突き合わせてたのに)
この店員さんの前でなんて、あまりにも背徳的な気持ちでした。
そして、そんな自分に内心の興奮を抑えることができません。
(たぶん、これが)
(本当の最後・・・)
ワンチャンスと決めていました。
「ばん!」
左足で正面の壁を蹴ります。
同時に、
「どん!」
後ろの壁に自分の背中をぶつけました。
派手に音をたてておきながら・・・
そのまま沈黙してみせます。
右足を横に伸ばしました。
カーテンの下から、だらんと足首を外にはみ出させます。
(どきどきどき)
ものの数秒で、
「お客様!?」
店員くんが駆け寄ってくる気配がありました。
カーテンの下から飛び出させた足首を引っ込めます。
そして、なおも無言でいる私・・・
「どうされました?」
「だいじょうぶですか?」
演技しながら、罪悪感に胸が痛みます。
(ごめんなさい、ごめんなさい)
(仮病なの・・・貧血のふりなの)
「う・・・う」
それとなく苦しそうな声を漏らしてみせました。
「お客様?」
「開けさせていただいてよろしいですか?」
困惑が伝わってくる問いかけに、
「あ・・あ・・・は、い・・・」
あえて拒否をせず、相手がカーテンを開けてしまうように促します。
「失礼します」
真横にあるカーテンが、半分ほど開かれて・・・
彼の目に映ったのは、試着室の中でへたりこんでいる私・・・
店員くんが、瞬間的に固まってしまっていました。
「すみ・・ま、せん」
「また、ひんけつ・・が・・・」
ゆらゆらと手を差し出してみせると・・・
慌てた感じで、
「大丈夫ですか?」
ひざをつくようにして寄り添ってきてくれます。
「はあ、はあ、はあ・・・」
彼の腕をぎゅっとつかんで、
「ごめん、なさい」
「すぐ、なおる・・から・・・」
じっとしたまま、つらそうに唇をかみしめる私・・・
大きすぎるビキニのトップが、せつなく胸から浮いていました。
その内側は、完全にすかすかです。
「はあ、はあ、はあ・・・」
店員くんは、すぐに気づいたようでした。
ちょっと覗きこむだけで、
(ああん)
目の前には、この女の貧弱なおっぱい・・・
その小ささが仇となって、かわいそうに乳首まで見えてしまっています。
(あああ、見てる)
私に腕をつかませてくれたまま、
「無理しないでください」
「大丈夫ですから」
やさしく声をかけてくれている店員くん・・・
(恥ずかしいよう、見ないでえ)
ものすごく興奮しました。
さりげなく首を伸ばすようにして、私の胸もとを覗きこんでいるのがわかります。
これほどの『美人』が、
(だめ、だめえ)
下半身には、ちゃちな紙ショーツひとつ・・・
かわいそうな女になりきりました。
涙を浮かべて、
「はあ・・・はあ・・・」
つらそうに口で息をしています。
彼の腕を放して、両手を床につきました。
苦しげな顔のまま上体をゆらゆらさせてみせます。
床にへたりこんだまま、われながら迫真の演技でした。
このまま横たわってしまいたい・・・
でも、そんなことできない・・・
いかにもそんな感じで、必死につらさに耐えているふりをします。
そして、
「ご、め・・・」
「ごめんな・・さい」
少しでも楽な姿勢ができるようにと・・・
奥のほうへ這おうとするみたいに、からだをよじらせました。
でも、
「はあ、はあ、はあ・・・」
ほとんど動けずに、そのまま小さくからだを丸めてしまう『この女』・・・
あわれにも、紙ショーツが腰からずりさがっています。
(あああん)
興奮の頂点でした。
真後ろには、男性の店員くん・・・
(いやん、いやん)
床にうずくまったまま、
「はあ・・・はあ・・・」
私は、生身のお尻をぺろんと出してしまっています。
(恥ずかしい。。。)
見えてしまっているはずでした。
お尻の真ん中のその下に・・・
この女の、デリケートな『割れ目』の部分が。
「はああ・・・はああ・・・」
羞恥心に、胸を掻きむしられます。
朦朧としたふりを装って、
「うぅぅ」
そのまま自分の『あそこ』を見させていました。
アンモラルな快感に、脳がとろけていく私・・・
(恥ずかしいよう)
後ろからは、
「大丈夫ですか?」
ちゃんと彼の声が耳に届いてきています。
誰にも気づかれることなく・・・
背後から、いくらでも見放題の店員くん・・・
(お尻の穴が・・恥ずかしいよ・・・)
肛門もまる見え状態のまま、1分ぐらい・・・?
身動きもせずに、
「はあ・・はあ・・はあ・・・」
そうやって朦朧としたふりを続けました。
(あああ・・・だめえ・・・)
自尊心を掻きむしられながら、
(どきどきどきどき)
この屈辱のひとときに、非日常の興奮を味わいます。
(だめえ、耐えられない)
(もうイヤぁ・・・)
ゆるゆると上半身を起こしました。
店員くんが『さっ』と立って、離れているのがわかります。
(どきどきどき)
泣くのをこらえるのに必死でした。
「少し・・・」
「落ち着いて・・きました・・」
涙目の顔を向けて、
「ごめん・・なさい・・・」
本当に申し訳なさそうに謝ってみせます。
(こんなに)
(キレイな顔した女だよ)
「いえいえ」
「よかったあ、大丈夫ですか?」
(見てたくせに)
すっとぼけている彼に、
(ばか・・ばか・・・)
けなげにも、素直にうなずいてみせる『この女』・・・
(イヤあん、もうだめ)
カーテンを閉めて、服を着ました。
恥ずかしすぎて、
(あああ・・・あああ・・・)
本当に、いまにも気が狂ってしまいそうです。
荷物をまとめました。
試着室から出てパンプスをはきます。
「大丈夫そうですか?」
心配そうに声をかけてくれる店員くんに、水着を返しました。
「ごめんなさい」
「今日は、やめておきます」
まともに相手の顔を見ることができません。
それでも、
「本当にごめんなさい」
「ちょっと疲れがたまってるのかな」
勇気を振り絞って、会話を交わしてみせる私・・・
儚げに微笑みを浮かべた『いい人』のまま、お店をあとにしました。
(どきどきどき)
限界です。
抑えていた感情があふれかえってきました。
エスカレーターですれ違いになるおじさんが・・・
涙をぼろぼろ流している私に気づいて、驚いた顔をしています。
駐車場に戻って、自分の車に乗りこみました。
そのまま運転席で泣き崩れます。
(恥ずかしいよ)
強烈な刺激と、羞恥心と・・・猛烈な屈辱感と・・・
思いっきり泣くことで、いつまでも興奮の余韻を噛みしめていました。
(よかった)
(・・・無事で)
ようやく気持ちが落ちついてきます。
バッグからスマホを取り出しました。
ムービーを再生してみます。
そこに映っている、
(いやんいやん、変態)
あの店員くんの『本当の顔』・・・
(やめて、やめて)
背筋をぞくぞくさせながら、小さな画面に見入ってしまう私でした。