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CFNM

CFNMや露出についての萌える体験をコピペしました(^^;)

2024-04

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野風呂

そこからは、あらかじめ予約しておいたレンタカーに乗り換えます。
正直なところ・・・
そういうことをするにあたっての感覚的なものが、まったく戻っていませんでした。

(到着してから考えればいい)

ハンドルを握りながら、はやる気持ちを戒めます。

(ぜったいに無理したらだめ)
(とにかく慎重に)

おそらく、実際に経験したことのある人にしか理解できないでしょう。
日本での露出行為なんて、まぎれもなくリスクと隣り合わせの『危ない賭け』でしかありません。

(だいじょうぶなの?)

今でもそんなことが私にできるのかどうか・・・
本当のことを言えば、もうあまり自信はありませんでした。

長い長いドライブの末、そのひなびた温泉地が近づいてきます。
途中から山道に分け入って・・・
やがて、見覚えのある温泉旅館がひとつふたつと目に入ってきました。
玄関の横に、『そば』とのぼりが立っているのに気がつきます。

(ちょうどいい)

目的地までは、もうあと2~3分で到着というところでした。
その前に、ここで昼食をとっておこうと決めます。
旅館の駐車場に、車をとめました。

(懐かしいな)

お食事処と書いてある暖簾をくぐって中に入ります。
お客さんは、私以外に2人組のおじさんたちがいるだけでした。

注文したおそばが来るまでの時間を使って、ちょっとスマホで調べものをします。
手もとの画面を見ていると・・・
不意にそのおじさんたちに声をかけられました。
唐突だったので『えっ』と思いながら、そちらに顔を向けます。

「ひとりですか?」
「ここにお泊りの方ではないですよね?」

その2人組のおじさんたちは、多少ほろ酔い加減のようでした。
テーブルの上には、もう食べ終わったおそばの器とビールの瓶が並んでいます。

「ご旅行ですか?」

人のいいおじさんたちでした。
アルコールでいい気分になったまま、隣に居合わせた女性とのコミュニケーションを楽しみたがっているんだというのがわかります。

突然のことでしたが、別に嫌な感じはありませんでした。
気軽な時間つぶしのつもりで、おしゃべり相手になってあげます。

「○○○でしょう?」
「ええ、わかりますか?」

「○○○○ですか?」
「はい、あまり詳しくないですけど」

とりとめのない会話を交わしていくうちに・・・
ずっと心の中にわだかまっていた何かが、氷解していくような感覚になりました。
ここ最近の私は、
(自分でも気づかないうちに)
周りに心を閉ざして、どこかで無意識に人との関わりを遠ざけるようになっていたのかもしれません。

会話を重ねていきながら、すーっと肩の力が抜けていくのを感じていました。

「○○ですよねー」
「私もそう思いました」

出てきたおそばを食べながら、
「美味しい」
「このあたりは、水が〇〇だからね」
見ず知らずのおじさんたちに心を開くことで、すごく気持ちが軽くなっていくのを実感している自分がいます。

「よかったら一杯どうですか」

鷲鼻のおじさんが、私のコップにビール瓶の先を向けてくれます。
『車なので』と、さすがにそれは断りました。

「このへんは、〇〇も名産なんですよ」
「へーえ、そうなんですか」

げじげじまゆげのおじさんのほうは、
「僕たちは昼から飲めるってだけで嬉しい人間だから」
美味しそうにおそばをすする私を見ながら、ビールを飲んではしゃいでいます。

ふたりとも、50代後半ぐらいの人たちでした。
ひとりでふらっと現れた『この女』に、だんだんと興味がわいてきたようです。
どうしてこんなところにと問われて、私は答えました。

「温泉が好きなんです」
「この先の『○○の湯』というところを訪ねてみようと思って」

意外にも、反応がありました。
おじさんたち2人が、互いに『ぱっ』と目を見合わせています。
そして、
「いや、僕たちも行こうと思ってたんですよ」
「今からちょうど、なあ」
偶然だなあという顔をしています。

見抜けない私ではありません。
なんとなく、とっさに話を合わせてきたという印象を受けていました。
思わず、
(なにかあるの?)
一瞬、猜疑的な気持ちがよぎります。

まゆげさんが、
「よかったら、ご一緒しませんか」
私を誘いながら、子どもみたいに目を輝かせていました。

「ぜひ、ぜひ」

悪意はまったく感じられません。
でも、油断しませんでした。

(ぜひって言われても。。。)

私は、今でも自分の外見の容姿にだけは自信を持っています。
決して自惚れているつもりはありません。
そりゃあ、20代の若い子に比べれば肌の張りは多少劣るかもしれないけど・・・

それでも、はっきり感じ取っていました。

(私が、美人だからでしょう?)
(だから、一緒に行きたいんでしょ?)

予想外の展開になって、まだ戸惑っている私がいました。
警戒心を緩めることはありません。

(どうしよう。。。)

すぐには返事をせずに、
「行かれたことあるんですか?」
相手の反応を見ながら、おじさんたちの本心を探ります。

と同時に・・・
したたかに心の中で計算をはじめている自分もいました。

私がこの地にやって来たのは、久々にあの興奮を味わいたかったからに他なりません。

(誰かにお風呂を覗かれながら・・・)
(何も気づいていない恥ずかしい女になりきる・・・)

そのために、かつて何度となく足を運んだのがこの先にある野天温泉でした。

(うまくいけば)
(この人たちを利用できる?)

見た目は楚々としていても、内心は計算高い私です。
演技していました。
笑顔をつくりながら、
「もう、このすぐ近くなんですよね?」
あたかも初めて訪ねて来たかのように装ってみせます。

「僕らは、昨日も行きましたよ」
「けっこう気に入っちゃって」

(いかにも気の良さそうな人たちだけど。。。)

ほとんど人のいないような渓谷の温泉に行こうとしているのです。
途中で豹変でもされようものなら厄介でした。

なおも会話を続けながら、慎重に人柄を見極めます。

少し不安そうな表情で、
「まさか、○○の湯って混浴とかじゃないですよね?」
わざと、そんな男性の下心を刺激しそうなことを聞いてみました。
もちろん、実際には違うと私は知っています。

「あはは・・・ちがうちがう」
「残念ながら、男女別ですよ」

ビールで顔が真っ赤になっている鷲鼻さんが、陽気に答えてくれました。

ちょっとあからさまなぐらいに、
「いっしょなのは、お風呂に入る前までですよね?」
自分が身持ちの堅い女であることを、しっかりとアピールしておきます。

(だいじょうぶだ)

だんだんと確信を得ていました。
これこれで、こんなふうになっている野天風呂ですよ・・・
まゆげさんが〇〇湯の概況について丁寧に説明してくれます。

(悪い人たちじゃない)

しかも・・・
この流れなら、
(もしかしたら)
それこそ私に都合のいい展開にも持ち込むことができるかもしれません。

「じゃあ一緒に行きます」
「連れていってください」

おそばを食べ終えるのに合わせて、OKしてみせました。

「よっしゃ」
「そうこなくっちゃ」

おじさんたちは、この旅館の宿泊客とのことでした。
いちど荷物を取りに部屋に戻ると言っています。
現地の駐車場で待ち合わせることにして、私は先にお店を出ました。

(いい流れかもしれないな)

車に乗りこみます。
エンジンをかけてスタートさせました。

ものの数百メートル走ったところで、その目立たない駐車場が見えてきます。
いちばん奥の位置にとめました。
後部座席からトートバッグを出して、車から降ります。

(この場所・・・懐かしい・・・)
(この土の匂い・・・)

サイドミラーに近づいて、自分の顔を映しました。

(だいじょうぶ)
(私には、この『見た目』がある)

このあいだの帽子を拾ってくれた高校生にとっては、おばさんかもしれないけど・・・
あの人たちにとっては、まだまだ若くて『美人』なこの女・・・

不思議なもので、みるみる自信がわきあがってきます。

うまく説明できないけれど・・・
晴れ晴れしい気持ちでした。
会社勤めをしていたころの、毎日頑張っていたあの頃の自分を思い出します。

(きっとチャンスはある)
(私なら、なんとかできるはず)

昔の感覚が『ぱあっ』とよみがえってきているのを感じました。

おじさんたちが来るのを待ちながら、頭をフル回転させて考えます。
さりげなく誘導する必要がありました。
決して怪しまれないように、私の思うような展開に持っていかなければなりません。

(まずは、演技だ)
(真面目なタイプを演じよう。。。)

やがて、向こうからおじさんたちの姿が現れました。
ふたりとも中年太りのからだを揺するようにしながら、こっちに歩いてきます。
私はにっこりと手を振ってあげました。

「お待たせしましたー」
「いえ、ぜんぜんです」

駐車場の奥のところから、森の歩道がはじまります。
鷲鼻さんを先頭に、
「こっちですよ」
3人で野天温泉に向かって歩きだしました。

「混んでますかねえ?」

「いやあ、そんなことないと思いますよ」
「たぶん貸し切り状態じゃないかなあ」

もう、お互いにすっかり打ち解けた雰囲気です。

いろいろ世間話をしながら、森の歩道を進んでいきました。

「〇〇の〇〇温泉って知ってます?」
「あー、行ったことあるな」

「私、あそこの〇〇〇とか大好きなんですよ」

鷲鼻さんも、まゆげさんも・・・
屈託のない笑顔を振りまいてみせる私に、嬉しそうな顔をしています。
自意識過剰なんかじゃありません。
私には、ちゃんとわかるのです。

(ねえ、この私に・・・)
(ちょっと、ときめいてるんでしょ?)

同時に、すごく苦しくなりました。

(それなのにこの人たちに覗かれる??)
(恥ずかしすぎて、ぜったい無理だ)

親しげな雰囲気になればなるほど・・・
反比例するように、どんどんハードルが高くなっていくのを強く感じます。

その後も、3人で歩きながら自然と会話が弾んでいました。

「俺、〇〇のとき〇〇〇だったんですよ」
「えー、そうなんですか?」

そのうちに仕事や生い立ちの話になってきます。

「えー、私ですか?」

ここからが私の真骨頂でした。
もちろん、本当のことなんて言うわけがありません。
CAだと嘘をつきました。

「CA?」
「スチュワーデスさんなの?」

食いつくように私の顔を覗きこんできたのは、まゆげさんです。
私をみつめて、
「すごいじゃないですか」
ますます興味津々の表情になっています。

「いえ、そんなことないんですけど」

照れたようにはにかんでみせると、鷲鼻さんも話に乗ってきました。

「〇〇〇?」

私は、本当に悪い女です。
軽くうなずきながら、
「でも・・・」
すらすらと嘘に嘘を重ねている自分がいました。

「もう29ですし」
「はやくいい人をみつけて、身を引きたいんですけどね」

さらっと年齢も偽りながら、
「あれっ、水の音がする」
急に立ち止まったりして、さりげなく話をそらしていきます。

「この下に、川が流れてるからね」
「もうすぐ着きますよ」

ふたりとも、

・・・へえー、CAさんか。
・・・どうりでキレイな顔してるわけだ。

露骨にそんな表情になっていました。
私は、まったく意に介していないふりをしています。

ときおり歩みをゆるめて、
「だいじょうぶですか?」
このふたりをやさしく気遣ってあげました。
肥満体のせいで、さっきから息が上がりかけているおじさんたち・・・
私だけが、ひょいひょいと歩けている感じです。

(もっと私の顔を見て)
(高嶺の花だと、もっと見惚れて)

「けっこう、でこぼこ道ですねえ」

なりきって演技をしている自分が快感でした。
良心の呵責を覚えながらも、
(べつに迷惑をかけてるわけじゃない)
人を騙していることの罪悪感に、どきどき興奮してしまいます。

「もうすぐですよ」

そう言いながら、先頭を歩く鷲鼻さんがこちらを振り向きました。
前髪の生え際のところに、枯れ葉のようなものがくっついています。

「あ、待って」

チャンスでした。
足をとめた相手に、『すっ』とにじり寄ります。
そして、
「葉っぱが・・・」
おもむろに鷲鼻さんの顔に手を伸ばしました。

一瞬、見つめ合うような距離感になりながら・・
そっとゴミを摘み取ってあげます。

「ありがとう」

このちょっとした振る舞いが、効果てきめんでした。
鷲鼻さんの表情が、でれっと弛んでいます。

「ごめんなさい、くっついてたから」

私は自然体を装いました。
その物腰は、あくまでも真面目な女そのものです。

(完全に、こっちのペースだ)

やがて『〇〇湯→』という朽ち果てた木の表示が見えてきました。
この歩道からそれるように、下へと降りていく階段道が続いています。

3人で、急こう配の階段道を下っていきました。

「あぶないから気をつけて」

崖を沿うような感じでカーブしていくと、いきなり眼下に野天風呂の景色が広がります。
立ち止まって、
「わあっ、すごい」
渓流沿いの岩風呂を見おろしていました。
人の姿はどこにもありません。

「あ、あ、でも」
「これって外からまる見えなんじゃないですか?」

困惑したようにつぶやいてみせます。

「大丈夫ですよ、こっちは男湯だから」
「女湯は、ほら、あそこの・・・わかる?」

指さされたほうに目を向けました。

「女湯は見えないようになってるから」
「ぜんぜん心配ないよ」

お上品そうなキャラクターを印象づけながら・・・
なおも戸惑っているふりをします。

「もし覗きとかいたら」
「私、本当にそういうの嫌なんです」

不安そうな顔をしました。
きょろきょろと、何度も対岸の川沿いに目を走らせます。

じゅうぶんでした。
これだけ警戒心が強い素振りを見せつけておけば・・・
そんな『私』を覗き見ることができたとき、この人たちの興奮はきっと倍増するはずです。

(こんなに、ガードの固そうな女だよ)

そう・・・
私は、このおじさんたちを喜ばせてあげたい気持ちでいっぱいでした。
すっかり仲いい感じになったこのふたり・・・

(ねえ、もし女湯を覗けちゃうとしたら)
(どうする?)

「大丈夫そうですね」

ようやく安心したような顔で、微笑みを取り戻してみせます。

階段道を下りきりました。
いま降り立ったこの川べりのお風呂が男湯です。
そして、あっちに見える古びた木戸の向こうが女湯の入口でした。

山の谷間の素晴らしい景色が目の前に広がっています。
渓流のせせらぎと遠くの鳥の声が、私たちを迎え入れてくれていました。

「すごく素敵」

ロケーションに感激しているふりをします。

「いいところですねえ・・・」

野天風呂ならではの開放感に、
「これなら誰かに見られたって気にならないでしょ?」
まゆげさんが、わざとらしく私のことをからかってきました。

「やめてくださいよ」

もちろん相手に悪気がないことぐらいわかります。
でも、私は・・・
(この人、セクハラするタイプだな)
このおじさんの本性を垣間見たような気がしました。

「あなた、スタイルもすらっとしてるもんね」

ムキになった口調で、
「そういうの本当にやめてください」
あからさまに嫌そうな顔をします。
そのうえで、
「私、泣いちゃいますよ」
拗ねた子どものように口を尖らせて、ふたりの笑いを誘いました。

「ごめんごめん」
「冗談ですよ」

おじさんたちが、にこにこ見ています。

「でも、来てよかったぁ」
「こんな素敵な温泉、初めてです」

景色に目を奪われているふりをしながら、しみじみとつぶやいてみせました。

そして、
「それじゃあ、どうも」
にこやかに会釈を交わして、ふたりから離れます。

自分だけ男湯スペースの真ん中を突っ切っていきました。
木戸を開けて、ひとりで中に入ります。
石垣のような部分を折り返すと、そこが女湯でした。
私以外には誰もいません。

(また来ちゃったよ)

岩場の真ん中に湯だまりがあるだけの、こじんまりした空間でした。
正面に見える渓流が、キラキラと太陽を反射しています。
何もかもが、昔のままでした。

(変わらないなあ)

手近な岩の上に、トートバッグを置きます。
外からの目隠しになるよう、左右に立てかけられている『すだれ』も以前のままでした。

「今日も貸し切りだぞ、貸し切り」
「最高だな、ここは」

男湯との間をさえぎる大きな岩山の向こうから、まゆげさんの喚く声が聞こえてきます。

感慨にひたっている時間はありませんでした。
スニーカーを脱いで、裸足になります。
片方のすだれに歩み寄りました。
何もしなくても、もともと古くて隙間だらけになっているようなすだれです。
適当な位置で、竹束(?)のあいだに指を突っ込みました。
ところどころ上下に偏らせて、いくつか自然な感じの『覗き穴』をつくっておきます。
日差しの向きも、確認済みでした。

(これならいうことない)

この野天風呂は、川べりの地面から1.5mぐらいの高さのところにあります。
野天スペースのへりにあたる部分はコンクリートでできていて、それがそのまま護岸のような感じのつくりになっていました。
たいした高さではありませんから、その気になれば簡単に下に降りることができます。
地面に接している土台みたいな幅のところは、そのまま男湯のほうまでつながっていました。

(どきどきどき)

もちろん、すべては承知のうえです。
舞台は完璧に整っていました。

気持ちに勢いがあるうちじゃないと・・・
たちまち躊躇いが生じて足がすくんでしまうことを、誰よりも私自身がよく知っています。

(よし、やろう)

「ガタっ」

裸足のまま再び木戸を開けて、男湯スペースに戻りました。
おじさんたちの目が、『ぱっ』とこちらに向きます。

「あの・・・」
「ちょっと伺いたいんですけど」

ふたりとも、すでにお湯につかっていました。
持ち込んだらしい缶ビールを開けて、もう乾杯していた様子です。

「こういうところって」
「シャンプーとか石鹸とかはダメなんですよね?」

あたりまえのことを尋ねながら、はじっこのコンクリート部分に歩み寄りました。
ちょっと身を乗り出すようにして・・・
女湯のほうを『さりげなく』確認している姿を、ふたりに印象づけます。

「まあねえ」
「洗い場とかないからねえ」

2本目の缶ビールを取ろうと、まゆげさんがお湯の中から立ち上がりました。
ぼろんとぶら下がったお〇んちんが、まる見えになります。

「きゃっ」

とっさに演技していました。

あたふたした素振りで、
「ちょっと、ちょっと見えてますから」
目のやり場に困ったかのように、両手で自分の顔を覆ってみせます。

「ちゃんと隠してくださいよう」

そんな私の様子を面白がるように、
「えっ、なに?」
わざとらしくぶらぶらさせたままでいる、まゆげのおじさん・・・

「ちょっとお」

おそらく本当に顔が真っ赤になっていたはずでした。
鷲鼻さんも、そんな私を見て笑っています。

恥ずかしそうに、
「もぉお、ヤぁだぁ」
そのまま女湯のほうへと踵を返してみせました。

木戸を入って、中からきちんと閉めます。
完璧でした。
内心、興奮を抑えられません。
あんなふうにからかわれることになるとは思っていませんでしたが、
(いいぞ、いいぞ)
むしろ100点満点の展開でした。

その場にとどまったまま、戸の隙間からおじさんたちを覗きます。
ふたりとも、愉快そうに笑っているのが見えました。
声までは届いてきませんが、
(なんか言ってる)
私には、その会話の内容がはっきりと聞こえてくるかのようです。

・・・あんなキレイな子に、〇〇〇〇見られちゃったよ!
・・・見たかよ、あの子真っ赤になってたぞ!!

(にやにやしちゃって)

それとは対照的に・・・
私の演じている『この女』の、なんて真面目なことか・・・

(これぐらいテンションを上げさせてやらないと)
(『覗き』までしようって気が起こるはずない)

それが、私の読みでした。
いつでも動きだせるように、その場でぱぱっと全裸になってしまいます。

本当に悪い人間は、この『私』でした。
あのふたりのことを、
(すっかり騙されてる)
最初から利用する相手としか見なしていなかったのですから。

脱いだ服を腕の中に抱えて、
(どきどきどき)
そのまま木戸の隙間から男湯のふたりの様子を覗き続けました。

(気づけ・・・気づけ・・・)

美味しそうにビールを飲みながら、楽しそうにげらげら笑っています。
その直後には・・・

(よしっ)

まゆげさんが、男湯スペースのはじっこに立っていました。
さっき私が気にしてみせていたほうに向かって・・・
上半身を乗り出すようにしています。

(どきどきどき)

例の『すだれ』が目に入ったはずでした。
それが目隠しになって、もちろん女湯スペースそのものは見えません。
でも、
(気づいたはず)
下の土台に降りてしまえば・・・
そのすだれの前までは、わりと簡単に行けてしまうことを・・・

(どきどきどき)

まゆげさんが振り向いて声をかけています。
鷲鼻さんもお湯から出ました。
コンクリート部分に並んでそちらに目をやっています。
一瞬の間がありました。
ふたりで何やら囁き合っている感じです。

(降りろ・・・降りろ・・・)

まさにここが分かれ道でした。
心の中で、
(下に降りろ・・・)
一生懸命おじさんたちに念(?)を送ります。

まゆげさんが、
(あっ、あ・・・)
足もとに両手をつくのが見えました。
太ったからだを反転させるようにして、のっそりと下の土台部分に降りようとしています。

(あああっ、来る・・・)

鷲鼻さんもいっしょでした。
まゆげさんの隣で、同じように後に続こうとしています。
そこまで見届けて、
(イヤぁっ、イヤっ・・・)
私のテンションは最高潮に達しようとしていました。

(覗きに来るっ)

急いで石垣を折り返します。
抱えていた服をトートの横に置いて、湯だまりに飛び込みました。

一転して・・・
今度は完全に矛盾した心情に、激しく胸をかきむしられます。

(イヤっ、私・・・)
(とても耐えられない)

肩までお湯につかったまま、正面の景色を『ぼーっ』と眺めました。
目の焦点をずらす感じにして、すだれを視界の片隅に入れます。

(いやん、来ちゃう)
(誰か助けて)

と同時に、
(あ・・・)
すぐそこに浮かび上がった頭2つのシルエット・・・

緊張しすぎて、喉まで心臓がせり上がってきそうでした。

(あ、ああ・・・)

すだれの裏に、おじさんたちがいます。
もともと隙間だらけの古いものでした。
あの人たちの背後から日差しが照りつけていますから、それとなくわかるのです。

(あああ・・・そこにいる・・・)

もちろん、こちら側からは一切見えてないふりをしました。

(恥ずかしい)
(・・・恥ずかしいよ)

私との距離は3mとありません。
息苦しいほどの重圧に押しつぶされそうです。

(ああ、やっぱり私・・・)
(無理かも・・・無理だ・・・)

覗いたおじさんたちも驚いたことでしょう。
さっきのあの子が、こんなにも『目の前』でお湯につかっているのです。
それほどの近さでした。
まさか、女湯スペースがこれほど狭いとは思ってもいなかったに違いありません。

(落ち着いて)

必死に自分に言い聞かせました。

(このために来たんでしょ?)
(ちゃんと思いどおりになってるじゃない)

肩に入っていた力を抜きます。
大きく息を吐きますが、
(あああ、だめだ)
どうしてもプレッシャーをはねのけることができません。

頭の中を空っぽにして、そこにいるふたりのことを意識の外に追い出しました。
遠くの山々を眺めながら、
(ああ、なんていい景色・・・)
のんびりとお湯の気持ちよさを堪能しているふりをします。

(ああ、無理・・・)

5分ほどそうやっていたでしょうか。
やはり、以前のような感覚の私には戻ることができません。

(やっぱり無理)

熱さにのぼせていました。
ひとたびお湯から出ようものなら、どこにも隠れ場所などありません。

(この人たちに見られるなんて)
(私、恥ずかしくて耐えられない)

泣きそうになりました。
でも、もうのぼせて限界です。

(きゃあああ)

心の中で悲鳴をあげていました。
お湯の中から、
「ざばっ」
いちど立ち上がって、そのまま湯だまりのふちに腰かけます。

(イヤあ、見ないで)

演技するしかありませんでした。
必死に自然体を装おうとしている私がいます。

(見ないでえ)

覗かせてやりました。
おっぱいまる出しのまま・・・
何も知らずにくつろいでいる『この女』の幸せそうな姿を。
この人たちにとってこの子は、
(いかにも楚々とした、しとやか美人・・・)
男に見られているとも知らずに、ひとりっきりの時間を満喫しています。

(さっきまで面と向かって)
(ずっとしゃべっていた相手なのに)

屈辱感でいっぱいでした。
渓流の景色に目をやっているふりをする私・・・
湯だまりのふちに腰かけたまま、
(すぐそこにいるのに)
彼らの前で乳首を隠すこともできません。

(私は悪くない)
(悪いのは、覗く人たちのほう)

懸命にそう思い込もうとしても、
(やっぱり、恥ずかしい)
とてもじゃないですが、もう耐えられませんでした。

(なんで私が)
(こんな人たちのために)

再び『じゃぼん』と、お湯の中にからだを沈めます。

(ひいいい)

まともにすだれのほうを向くことができませんでした。
おじさんたちには背をむけるかたちでお湯につかっています。
そして、
(もう無理・・・もう無理・・・)
はっきりと思い知らされていました。

(私はもう・・・)
(昔みたいにはなれない)

それを完全に悟ってしまった今、
(助けて、誰かたすけて・・・)
私に、もうこの場にいられるだけの気丈さはありません。

(恥ずかしいよ)
(もうイヤだ)

ふたりに顔を見られないようにしながら、涙ぐんでいました。
限界を感じて、自尊心が悲鳴をあげてしまっています。

(だれか助けて)
(わたし、何も着てないよう)

そして、ひたすらにおのれの愚かさを噛みしめていました。
悪いのは、おじさんたちじゃない・・・
この状況を演出してしまったのは、ほかでもない私自身なのですから。

(こんなことして)
(馬鹿すぎる・・・)

帰ろうにも帰れませんでした。
お湯につかったまま、なるべく見られずにすみそうな方法を懸命に考えます。

のぼせたら、おじさんたちに背をむける側で湯だまりのふちに腰かけて・・・
ふたりが去ってくれるのを待ちながら、またお湯につかる・・・

ただただ、その繰り返しで時間を稼いでいました。
地べたの割れ目から短い雑草が1本だけ伸びていて、小さい花を咲かせています。
その白い花の健気さを目にして、また涙ぐみそうになりました。

(私って)
(なんて弱いんだ。。。)

さっきからもう20分近くそのすだれの裏に張り付いているのです。
おじさんたちだって、とっくにくたびれているはずでした。

(戻ってください)
(お願い、もう男湯に戻って)

それなのに・・・
一向に、その場から離れてくれる気配のないふたり・・・

(帰ってくれるわけがない)
(多少は見られてもしかたない)

半ば、諦めの境地でした。

だったらもう・・・
のぼせ切ってしまう前に、はやく・・・帰ろう・・・

「ざばっ」

立ち上がっていました。
湯だまりから出て、すっぽんぽんのままトートバッグを置いた岩に歩み寄ります。

(なるべく手早くからだを拭いて)
(そうしたら、さっさと服を着て)

そう思ったのに、そう思ったのに・・・

(イヤああ)

おじさんたちに大サービスしている、もうひとりの自分がいました。
その場で『すっ』と棒立ちになってみせています。

全身から湯気を立たせたまま、
「う、ぅーん」
両方の腕を真上に突き上げながら、大きく伸びをしていました。
肩をぶるぶる震わせて・・・
からだから、『ふうっ』と力を抜きます。
真っ裸のまま、あらためて景色に見とれているふりをしました。
ふたりの前でのんびり立ちつくして・・・
この『お堅い』女の、股の割れ目がおじさんたちに見えてしまっています。

(やめてやめて)
(はやく服を着てよぉ)

スポーツタオルで軽くからだを拭いてから、ボディクリームを手に取りました。
パンツもはかずに、
(やめてってばぁ)
大胆にも全身にクリームを塗っていく私・・・
人一倍警戒心の強い『この女』の、無防備な姿をふたりに眺めさせてあげます。

(ねえねえ、おじさんたち)
(にやにやしてるの?)

あくまでも自然体を装いました。
右の足を上げて、ほどよい高さの岩上に置きます。
その無造作な格好のまま、ふくらはぎにクリームを伸ばしていきました。
何も知らないこの女は、
(もうイヤぁ)
まさか男性に覗かれているなんて夢にも思っていません。
そして・・・

(ああ、だめだ・・・)

自分自身を客観的な視点から観ているような、不思議な感覚に陥っていきました。
自分で演じている『この女』に対して、どんどん意地悪な気持ちになっていく私がいます。

トートの中からスマホを取り出しました。
カメラを起動して、
(いやん、いやん)
すだれの真正面に行く私・・・
真っ直ぐふたりに向き合うように、ガニ股でしゃがみこみます。

もはや、頭の中は真っ白でした。
どこかへ意識が遠のいていくかのように、すーっと『無』の心境になっていきます。

地べたから生えたあの雑草にスマホを向けて、にこにこしてみせました。
楽しげな表情で、
「ピッ、カシャッ」
その小さな花を何枚も写真に収めます。
少しでもいいアングルで撮ろうと・・・
片ひざをつきながら、
「ピッ、カシャッ」
はしたなく内股が開いてしまっているこの女・・・

どういうわけか、奇妙なぐらいに意識がフラットのままでした。
急速に冷めきっていく気持ちをよそに、表面上は撮影に夢中のふりを続けます。

(もういい)
(好きなだけ見て)

逆向きからも写そうとする感じで、花の反対側にまわりこみました。
すだれに背を向けて、
(まゆげさん、どんな気持ち?)
この容姿端麗なCAのしゃがんだお尻を、目の前で拝ませてやります。

そのまま地べたに両ひざをつきました。
わずか1m後ろには、おじさんたちの目・・・

両ひざ立ちのまま、
「ピッ、カシャッ」
思いっきり前かがみの格好になって、小さな白い花にレンズを向けます。
彼らを喜ばせてあげようと思う一心でした。
おじさんたちの眼前で、無防備なお尻を後ろに突き出してあげます。
地面についた両ひざを『がばっ』と左右に開きました。
さらにローアングルから狙おうと、
(鷲鼻さん、どんな眺め?)
体勢を低くして、這いつくばるようにスマホを構えてみせる私・・・

「ピッ、カシャッ」

ふたりとも、かぶりつくように見ているはずでした。
29歳のCAが、目の前で股ぐらを披露してくれています。
何も知らずに、
「ピッ、カシャッ」
もろ股間に男の視線を浴びている、かわいそうすぎる女・・・
でも、私の感情は完全に冷めていました。

「ピッ、カシャッ」

何事もなかったかのように立ち上がります。
潮時でした。
にこにこしたまま、トートのところに戻ります。

慌てることなく、ゆっくり服を着ていきました。

(じゅうぶん見たでしょ?)
(今のうちに自分たちのお風呂に戻って)

ペットボトルのお茶を飲んだりして、さりげなく時間の余裕をつくってあげます。
すだれから、おじさんたちのシルエットが消えました。

まるで呆けたかのように、一切の感情が『無』というか・・・
自分でも不思議なぐらいに気持ちが淡々としています。
身なりを整えて、
(そろそろ戻ったころか)
そっと石垣をまわりました。

「ガタッ」

木戸を開けると、ぱっとおじさんたちに目が合います。

ふたりとも、何食わぬ顔をしてお湯につかっていました。
臆することなく、近づいていく私・・・
最高の微笑みをつくって、鷲鼻さんに話しかけます。

「いいお湯でしたぁ」

自分たちの『覗き』が、まったくバレていなかったと確信できたのでしょう。
遠慮のない視線で、じろじろ私の顔をみつめてきます。

「もう帰るんですか?」

目線を落とすと、
(うわっ)
その鷲鼻さんのお〇んちんが・・・
思いっきり上を向いているのが、揺らぐお湯の中に見えました。

(もしかして私を思い出しながら)
(あとでオナニーしたりするの?)

何の罪もない表情で、しっかり目と目を合わせてあげます。
まゆげさんにも視線を向けて、にこやかに微笑んでみせました。

「はい、このあと」
「〇〇ってところにも行ってみたいんで」

ふたりに別れを告げて、その場をあとにします。
ひとりで階段道を上っていきました。

途中で振り返るように見おろすと、おじさんたちがまっすぐ私を見ています。
軽く手を振りました。
反射的に手を振り返してくれるまゆげさん・・・
やがてふたりの姿が見えなくなります。

(さよなら、おじさん)

虚しさでいっぱいでした。
途中から自分でも気づいていたのです。
昔のようにドキドキな気持ちの私には、やっぱり戻れないんだということを。

(こんなはずじゃなかった)

・・・恥ずかしさに興奮する?
というよりも、
私自身の感情なんて、途中からどこかへ飛んでしまっていた・・・
快感なんて、まったくない・・・

あのふたりは、さぞかし満足してくれたことでしょう。
でも・・・私は、心の中が空っぽでした。

やるせなくてたまりません。
ひとりぼっちで駐車場にたどり着いて、車に乗りこみます。
すぐにスタートさせました。
この近くにある、もうひとつの思い出の場所・・・
水遊びにはもってこいの、こちらも何度か行ったことがある『沢』に向けて。

(なんのために)
(こんなに、はるばると・・・)

うつろな気持ちでした。
寂寥感が襲ってきて、自己嫌悪に陥りそうです。

(もっと、もっと)
(胸がときめくかと思っていたのに)

さっきの旅館の前を通過して、その先から国道へ向かうのとは逆の方向へ入っていきます。
林道の中を走りながら、慎重にハンドルを握りました。

いくつもの分岐を進んで・・・
最終的に、行きどまりのちょっと広くなった場所に出ます。
車をとめました。
ボストンバッグを開けて、持っていくものをトートに移します。

デジタル一眼のカメラと、三脚・・・
そして、水着・・・

森の中の細道を数分歩いていくと、少しずつ水の音が聞こえてきました。
2つめの目的地にしていた『沢』が目の前に開けます。

(ここも、以前と何も変わらない)

待ちました。
誰かが現れたら・・・
そのときにここでやろうと思って組み立てていたイメージは、完璧に頭の中にできあがっています。

でも、来ませんでした。
小一時間待ちましたが、誰も現れてくれません。

(なんだよ)

違う意味で泣きそうでした。
私は・・・私は・・・
せっかく早朝から、わざわざ新幹線に乗ってやって来たのに。

(こんなにいい女が)
(待ち構えてあげてるんだよ!?)

スカートを捲り上げて、パンツの中に手を突っ込みました。
悔しさに任せて、その場でオナニーします。

・・・が、それもだめでした。
気持ちが昂ぶっていかないので、まったく快感を得ることができません。

(もう嫌)
(何もかもイヤ)

あまりの虚しさに、うずくまってしまう私でした。

どれぐらいその場にいたでしょうか。
何のあてもなく、ぽつんと沢のほとりで佇んでいました。

もうどうにもなりません。
悔しいけれど、帰るしかありませんでした。
トートバッグを肩にかけて、三脚を持ちます。

あまりの徒労感に、がっくりと疲れ切っていました。
河原から、森の細道のほうへと足を向けます。
・・・と、まさにそのときでした。

(うそ・・・)

帰ろうとした私と、ちょうど入れ替わるように・・・
男の人がひとり現れたのです。

なんというタイミングの悪さでしょう。

(しまった)
(あと5分待っておけば)

小さく会釈されました。
躊躇っているうちに、そのまますれ違ってしまいます。

(あ、あ・・・)

何もできませんでした。
思わず振り返って、その人を観察してしまいます。

大学生ぐらいの若い男の子でした。
見た目だけの印象なら、かなり真面目そうな雰囲気です。
と思っているうちに・・・
あっという間でした。
川の流れの前まで行った彼が、『何もないな』という感じでもう引き返してきています。

(あ・・・)
(あ、あっ・・・)

私は、固まったようにその場から動けずにいました。
カメラの三脚を持ったまま立ちつくしている私に、男の子が怪訝そうな目を向けてきます。

気後れしてしまって震えそうでした。
でも、勇気を振り絞って・・・
「あの、すみません」
ついに声をかけてしまいます。

一瞬『えっ?』という顔をされました。
でも、
「なんですか?」
足をとめてくれます。
その戸惑い声を耳にして、私は少し安心していました。
思ったよりも、おとなしそうな印象の子です。

「あの、えっと・・・」
「ごめんなさい、突然」

次の言葉がなかなか浮かんでこなくて、私のほうもどぎまぎです。

(いま持っているのは)
(とりあえず、このカメラ・・・)

「すみません、おひとりですか?」

頷いた彼に向って、なんとか言葉を繋いでいました。

「あの、もしお時間があったら」
「写真を撮るの、手伝ってもらえませんか?」

「あ、いいですよ」

いわゆる『ちょっと1枚シャッター押してください』のお願いをされたと勘違したようです。
わりとあっさり、簡単にOKしてもらえました。

計画していたのとは、ぜんぜん違う流れです。
もう、あらかじめ考えてきていたそのイメージ通りに持っていくことは不可能でした。
でもせっかく掴みかけたチャンス・・・
このまま帰るなんてまっぴらです。

「本当に、お時間だいじょうぶですか?」

「すみません」
「ありがとうございます」

直感がありました。
私には、わかるのです。
このやり取りだけで、もうすでに相手の心を『ぐっ』と自分に引き寄せたということが。

「ええと、あの」
「じゃあ・・・」

指さしながら、
「あのあたりでいいですか?」
川べりのほうへと、ふたりで歩いていきます。

「私、毎年1回、誕生日が近くなると」
「セルフポートを撮ってるんです、記念みたいな感じで」

平然と嘘をついている私がいました。

「なんか、撮ろうとしたら」
「カメラのセルフタイマーが壊れちゃったみたいで」

ここまできたら、完全に行き当たりばったりです。
こっちを見た彼が、
「誕生日?」
私に歳を聞きたそうな感じでした。

「来週で、27になるんです」
「あなたは?」

嘘に嘘を重ねているうちに、私が『もうひとりの自分』になっていきます。
心の中は、この子の人柄を見極めることに必死でした。

(だいじょうぶ)
(乱暴するような人じゃない)

むしろ、かなり真面目なタイプだということが相手の挙動から伝わってきています。
さっきまで物怖じしていた自分が嘘のようでした。
おしゃべりをしながら、
「ですよね、私もそうです」
少しずつ相手に親近感を植えつけていきます。

(若く見られる顔でよかった)
(ぜんぜんバレてない)

彼は、20歳の大学生とのことでした。
何よりも幸運なのは・・・
それこそ手に取るようにわかるのです。
この人が、ものすごく内気な性格の男の子だということが。

「経済の勉強って、難しいんでしょう?」

短大に通っていたころの自分を思い出していました。
なんとなくオーバーラップするものを感じます。
人見知りする性格のせいで、異性と話すだけでも緊張していたあのころの私・・・

(この子なら)
(絶対に大丈夫・・・)

おしゃべりを続けながら、上流側に数十メートル歩きました。
川べりの岩場で、地面に荷物を置きます。
これなら、三脚は必要ありませんでした。
トートの中からデジカメを取り出します。
けっこう本格的なカメラが出てきたことに、彼がちょっと驚いていました。

相手にカメラを持たせてしまって、
「ここをまわすと・・・合いますから・・・」
「あとは、押すだけです」
基本操作を簡単にレクチャーします。
手と手が触れあっていることに、明らかに緊張している『内気』な男の子・・・
彼のどきどきが、私には痛いほどにわかりました。

「じゃあ、試しにあの岩を」

そんな『内気くん』の後ろから、背中を抱くように両腕をまわす私・・・
男の子の指に手を添えるようにして、いっしょにカメラを持ちます。

私の顔の前に、彼の耳がありました。
ファインダー代わりの液晶画面をふたりでみつめます。

「そう・・・合わせて・・・」

内気くんのどきどきが伝わってきていました。
シャッターを押して、
「キシャっ、キシャっ、キシャっ」
どうでもいいような岩を試し撮りします。

「オッケー!」

にこにこしてみせました。
彼から離れて、川べりの前に立ちます。
そして、
(うわ)
けっこう衝撃を受けました。
ぱっと見ただけでも・・・
内気くんのズボンの『前』がぱんぱんに膨らんでいるのがわかります。

(たったあれだけで)
(この子、そんなふうになるんだ。。。)

気づかないふりをしてあげて、
「適当に、いっぱい撮ってください」
彼の前で、モデルのような立ちポーズを決めました。

「キシャっ・・・キシャっ・・・」

シャッターを押す音が聞こえています。
少しずつポーズを変えながら、カメラの前で格好つけてみせました。

「なるべくポートレートっぽく」
「こっち側からも、お願いします」

一転、今度は女の子っぽく笑顔を浮かべて・・・
ちょっと可愛らしくポーズをします。

(こんなの照れちゃう)

「キシャっ、キシャっ、キシャっ」

一生懸命に撮ってくれていました。
勇気を出して、
「んーっ」
レンズに向かって思いっきりキス顔をしてみせる私・・・
そのまま静止してみせます。

(ううう、恥ずかしい)

「キシャっ」

すぐさま、
「キシャっ、キシャっ、キシャっ」
真正面から表情を狙ってくる彼・・・

羞恥の気持ちでいっぱいでした。
男性にこんな顔を披露している自分が、死ぬほど恥ずかしくなってきます。
お風呂を覗かれるのとも、またまったく違う興奮でした。
撮ってもらうという名目で・・・
キスの顔をしたまま、
(ああ、だめだ)
こんなにも平静を装っている自分・・・

(もっと、もっと。。。)

切り替えるように、すっとお澄まし顔をつくります。

「キシャっ・・・」

慣れてきたのか、
「もうちょっと左に寄ってください」
内気くんも、ようやく自分から口を開くようになってくれました。
背景とのかねあいを考えて、手で向きを指し示してくれます。

「なんか人に撮ってもらうのって」
「緊張しちゃうな」

ただ写真を撮られているだけなのに、
(あああ、気持ちいい)
このシチュエーションに興奮がとまりませんでした。

「キシャっ、キシャっ、キシャっ」

うまいこと言いくるめて、ヌードを撮ってもらえばいいじゃないか。
もし読んでいてそう思う人がいるとすれば、それはかなりの妄想脳だというものです。
目の前にいるのは現実の人間でした。
実際の流れの中において、そんな展開は絶対にありえません。
でも・・・

(トートには)
(・・・水着も入ってる)

言えるわけがありませんでした。
そんなことを本当に口にするのは、あまりにもハードルが高すぎます。

「毎年ここで撮ってるんですか?」

「場所はいつもちがうけど」
「でも、なるべく景色のいいところでって思ってて」

なんとなく、
(この子はたぶん)
まだ女性経験が少ないんだろうな・・・
そんな気がしていました。

「キシャっ、キシャっ、キシャっ」

(どきどきどき)
(どきどきどき)

ごめんね、次・・・
・・・水着も、いいかな?

どうしても、その一言が切り出せません。

(もうこれ以上は引っ張れない)

諦めました。
これが私のメンタルの限界です。
最後に、もういちど格好つけてポーズしました。
真剣な顔で、凛とした表情を向ける私・・・

「キシャっ、キシャっ、キシャっ」

内心、恥ずかしくてたまりませんでした。
相手は20歳の男の子です。

(ああ、でも・・・)
(すごくどきどきする・・・)

未練がないと言えば嘘でした。
だけど、やはり現実的に・・・
どう考えても、ここからさらなる展開に持っていくことは不可能です。

「ありがとうございました」
「すみません、付き合わせちゃって」

にこにこ微笑みながら、カメラを受け取りました。

「うまく撮れてるといいんですけど」

内気くんが、口ごもりながら話しかけてきます。
彼の『気持ち』を感じました。
目の前にいるお姉さん・・・
このキレイな女の人と、なんとかもっとお近づきになりたいのです。

(もう恥ずかしい)
(早く逃げたい)

一瞬、それとなく気まずさが漂う感じがしました。
その微妙な空気感が嫌で、さっさと荷物をまとめます。

「それじゃあ、私」
「ちょっとこのあたりの風景も撮っていきたいんで」

笑顔でさよならを告げました。
内気くんを置き去りにして、ひとりで上流側へと歩きはじめます。

「どうも」

その寂しそうな表情が印象的でした。
ときどきこっちを振り返りながら、もとの下流側に向かっていきます。
そして、森の細道へと消えていきました。
その後ろ姿を最後まで見送って、妙に『ほっ』とする私・・・

(すごいな、私)
(あんなにすらすら嘘をつくなんて)

初対面の男の子に声かけて・・・
カメラマンになってもらっちゃったよ・・・

(緊張したけど)
(楽しかった)

そして・・・
さほど間を置かずして、今度はこみ上げるような後悔が襲ってきます。

(でも・・・もったいない)

内気そうなあの子の目を思い出していました。
自分の性格は、自分がいちばんよくわかっています。
あのときあの状況から、あれ以上の勇気を出せる『私』ではありません。
でも、いま思えば・・・

(岩陰で水着になろうとして)
(それを、さりげなく覗かせるとか?)

もしかして、いくらでもやりようがあったんじゃないか・・・

(奇跡的に訪れたチャンスだったのに)
(どうして、もっと頭を使わなかったんだ)

冷静に考えれば、無茶しなかった自分をほめたい気持ちもありました。
だけど、やっぱり・・・
(もったいなかった)
関東からはるばる長い旅路をやって来たことを思うと、後悔してもしきれません。

(もう少しここで)
(次のチャンスを待つ?)

そんなことしたって、どうせ無駄だとわかっていました。
ますます悔しさに苛まされることになるのが目に見えています。

(しょうがないよ)
(あれが精一杯だもん)

それが現実というものでした。
帰ろうと決めて、トートバッグと三脚を持ちます。

(そうだよな)
(そうそう思い通りになんかならないよ)

河原から、森の細道へと入りました。
疲れ切ってしまって、やけに荷物を重く感じてしまいます。
全身から汗が噴き出していました。
日差しの強さが、どんどん疲労感を加速させます。

(でも、楽しかった)

ただ写真を撮ってもらっただけだけど・・・
あの瞬間は、確かに『非日常』の興奮を味わうことができていた私でした。
どこの誰ともわからない、初対面の男の子。
レンズを向けてもらいながら格好つけてみせる自分が、内心ものすごく恥ずかしかったのを思い出します。

(なんかもう)
(くたびれちゃったよ)

私のレンタカーが見えてきました。
本来、そこは駐車場でもなんでもありません。
林道の突き当たりのスペースに、私が勝手に車をとめているだけです。
完全に森の中でした。

(疲れた。。。)

これからまた長時間運転しなきゃいけないことが億劫でなりません。
車のドアを開けながら、
(あ・・・)
かなり離れた先にとまっているスクーターに気づきました。
その近くに腰かけていた内気くんが『さっ』と立ち上がっているのが目に入ります。

(あの子だ)

どきっとしました。
反射的に、まだ気づいていないふりをしてしまっている自分がいます。

(こっち見てる)
(なんでいるの?)

うまく説明できませんが、なんだか無性にイラッとしました。

(いまさら、なに?)
(またあの気まずい空気はイヤだ)

あの男の子は、なにひとつ悪くないのですが・・・
とにかく腹が立ってきます。
身勝手なのは私のほうだという自覚はありました。
でも、理屈ではないのです。
この状況が、もはやストレスでしかありませんでした。

(来るなよ)
(もう来なくていいって)

向こうから、とぼとぼと彼が歩いてきています。

何か話したいことがあるのか・・・
それとも、連絡先の交換でもしたいのか・・・

気持ちが爆発しそうになりました。
いずれにしろ、私のことを待っていたのは間違いありません。

(やってやる)

どうせ、二度と会うことのない相手でした。
次の瞬間には、嘘のようにアドレナリン(?)が脳内に満ちあふれてきます。

(かまうもんか)
(やってやる)

相手のほうにまっすぐ背を向けて、車の傍らに立っていました。
彼に気づいていないふりを続けながら、後部座席に荷物を積みこみます。

運転席のドアを開けっぱなしにしたまま・・・

(かまうもんか)
(どう思われようと)

着ていたカットソーを、おなかから捲り上げました。
きょろきょろと周囲を気にしてみせるお姉さん・・・
真後ろにだけは『たまたま』首がまわりきっていません。

周りは、ただの雑木林でした。
内気くんとの距離は、まだけっこうあるはずです。

(あんたのせいだ)
(また現れたりするから)

上半身ブラ姿になって、そのままスカートも脱ぎました。
まとめて助手席のシートに放り込みます。

(どきどきどき)

私の行動にびっくりしているはずでした。
後ろを振り向きたい衝動にかられますが、ぐっと我慢します。

(ふざけんな)
(これも脱いでやる)

ブラを外して、ぽいっと車内に投げ込みました。
身につけているのはパンツとスニーカーだけ、という格好になって・・・
そのまま車に乗りこみます。

「カチャッ」

ドアをロックしながら、
(いるっ)
一瞬だけ内気くんの姿を視界のすみに捉えていました。
まだ20メートルぐらいあるでしょうか。
そんな彼の存在に、まだこのお姉さんはまったく気づいていません。

(どきどきどき)

閉めきっていた車内には、むっとするような熱気がこもっていました。
エンジンをかけて、運転席のウインドウを2cmぐらい下ろします。
すぐに、またエンジンを切りました。
フロントガラスの向こうから、陽射しがまぶしく顔に照りつけています。

(そうだ)

頭の中で、ひらめきました。
からだを捻って後部座席に手を伸ばします。

(これであの子も)
(簡単に近づいて来られる)

ボストンバッグからスカーフを引っ張り出しました。
その様子が、まだ向こうにいる内気くんにも見えるように・・・
まるで目隠しするみたいに、顔の上半分を覆って結わえます。

(やってやる)
(あの子の前で)

邪魔者が現れる心配はありませんでした。

(だいじょうぶ)
(ちゃんとドアのロックもしてある)

自分の胸を撫でまわしながら・・・
死ぬほどの緊張感の中、その瞬間を待ち構えます。

(どきどきどき)

待つまでもありませんでした。
いきなりサイドウインドウに張りついた、内気くんの『顔』・・・

(ひっ)

もしガラスがなければ、がばっと手が届くほどの近さです。
思いっきり車内を覗き込まれていました。

(ひいいん)

運転席に座ったまま、無心でおっぱいを撫でているお姉さん・・・
まぶしさ除けに巻いた目隠しのせいで、彼の気配には気づいていません。

(これはやばいぞ)
(恥ずかしすぎる)

本当は、ちゃんと見えていました。
とっさに使ったこのサマースカーフは、生地がメッシュ状の薄いものです。
重なり合った網目の隙から、透かすように見ることができていました。
内気くんが驚愕の表情で・・・
でも、食い入るように車内の私を覗いています。

(信じられる?)
(さっきのお姉さんだよ)

そのお姉さんのおっぱいが、至近距離で見放題でした。
まさかと思うようなこんなキレイな人が・・・
誰もいない森の中、ひと目を忍んでオナニーをはじめています。
口を半開きにして吐息を漏らしました。
男の子の目の前で、
(イヤあん、見ないで)
たいして大きくもない自分の胸を、愛おしむように揉みまわします。

(そんなにじろじろ)
(恥ずかしいよう)

と、そのとき・・・
内気くんが『すっ』と、窓の向こうからスマホを向けてきました。
ガラス越しに、私のことを撮ろうとしています。
どきっとしましたが、
(かまうもんか)
いまさら遠慮なんかしませんでした。
どうせ顔は半分隠れているのです。
何も知らないふりをして、そっと乳首をつまんでみせました。

「んっ・・・はぁっ・・・」

さっき、わざと窓の上端を空けておいたのです。
聞こえないはずがありません。
このお姉さんの、なまめかしい息づかいが。
乳首をいじりながら、みっともないぐらいに鼻息を荒くします。

(あああ。。。感じちゃう)

窓の外で、スマホがゆっくり横に移動していました。
写真ではなく、動画で撮られているんだとわかります。
どっちだろうと同じことでした。

背中をくねらせながら、ちょっと腰を浮かせる感じでパンツをずり下ろします。

ぼとっぼとっ・・・と、スニーカーを脱ぎ捨てました。
パンツも脱いで、全裸になった私・・・
お行儀悪く、
(ひいいん)
ダッシュボードの上に両足を載せてしまいます。
股のあいだに手を持っていきました。

(恥ずかしすぎて)
(・・・死んじゃう)

男の子がそわそわしています。
脚を上げたからだの角度が深くて、肝心なところは見えていないようでした。
サイドウインドウにへばりついて・・・
懸命に、私の指先の動きを見おろそうとしています。

知ったことではありませんでした。

誰もいない森の奥で、どっぷり自分ひとりの世界にひたっている女・・・
すぐ横に人がいるなんて、夢にも思っていません。

(泣いちゃいそう)

極上の背徳感に、痺れるような興奮を覚えていました。
恥部を弄りながら、
(あっ・・あっ・・あっ・・)
快感を誘うデリケートな部分を、指の先端で探っていきます。

(ああん、イヤぁ)
(・・・男が見てるのに)

時間をかけて、じっくりとオナニーにふけりました。
片方の手では乳首をこねまわしながら、
「はぁっ・・はぁっ・・・」
必死に喘ぎをかみ殺します。
覗いている内気くんの顔が、ガラスを隔てたすぐ真横にありました。
その後ろめたさが、最高に快感です。
ヘッドレストに後頭部を預けて、首をのけ反らせました。
自分の顔のすぐ横には、男の子のいやらしい表情・・・
彼の目の前で、
「ぁっぁっ・・・ぁっ」
はしたなく鼻の穴を膨らませてみせます。

(あああ、最高。。。)

ぬるぬるでした。
じっくりじっくり、自身の陰部を指先で追い詰めていきます。
恥も外聞もなく、
「ぁっ、ぁっ、ぁっ」
気持ちを天まで昇らせていく私・・・

(もうだめ)
(イっちゃう)

絶頂が迫ってきていました。
自虐的な気持ちが抑えられません。

(あああん)

腰かけていたシートの上から、ずるずるとからだを沈めていきました。
手探りで、レバーに手を伸ばします。
運転席を、
「ガチャッ」
フラット近くまで後ろに倒しました。

「ガタン」

ほぼ仰向けの状態です。
ダッシュボードに放り出していた両脚を、宙に浮かせたまま胸もとまで引き寄せました。
ひざを折り畳むような感じにして、
(ひいいいん)
からだを小っちゃく丸める私・・・
まるで、オムツを替えてもらう赤ちゃんみたいな格好になります。

見おろしている彼の、もろに目線の下でした。
内気くんが、私の恥ずかしいところを直視しています。
泣きそうに興奮しました。
お尻の穴まで『こんにちは』した、あられもない格好のまま・・・
一心不乱に、クリにあてた指先を震わせます。

「ぁん・・・ぁぁん・・・」

我慢できずに喘ぎをもらしていました。
自尊心と葛藤しながら、
「ぁっ・・・あぁん・・・ぁっ」
なるべく可愛らしい声で悶えまくります。
恥ずかしくてたまりませんでした。
いま私は、他人にこんな姿を見られています。

(イヤっ、イヤっ)

ものすごい勢いでピークが押し寄せてきていました。
はばかることなく、
「ああん・・イヤあ・・・」
さらに指先を細かく震わせます。
そして・・・
(あああああああ)
私は、絶頂の瞬間を迎えていました。

「あっ、あっ・・・ああ!!」

からだが、びくびくびくっと痙攣します。
自分で自分を抱きしめるかのように・・・
からだを丸めたまま、ぎゅっと両方の太ももを抱え込みました。

「はあ、はあ、はあ、はあ」

幾重にも寄せる快感と、完全にとろけてしまった脳・・・
心地よい疲労と満足感に、すべてがふわーっと満たされていきます・・・

動けませんでした。
ぎゅうっとからだを小さくして、
「はあ、はあ、はあ、はあ」
絶頂感の余韻にひたります。

じっと見おろしている男の子と・・・
その手には、たぶんずっと録画状態のスマホ・・・

力尽きていました。
自分でも、
(もう追い払わなきゃ)
ちゃんと頭ではわかっているのに・・・
鉛のようにからだが重たくなって、完全に脱力してしまっています。
抱え込んでいた太ももを放しました。
狭い運転席のシートの上で、放心したようにからだを投げ出します。

「はあ、はあ、はあ」

幸せでした。
もう、
(好きにして)
何もできないほどぐったりしている自分がいます。
でも、でも・・・

(終わりにしなきゃ)

急速に羞恥心が湧きあがってきていました。
さりげなく隠すように手であそこを覆います。
手のひらの膨らみが、敏感な部分に当たって・・・
自分の意思とは関係なく、
(ばかっ、馬鹿っ)
またびくびくっとしてしまうからだ・・・

(イヤっ、もうイヤ)

いまだそこにいる彼の目の前で、忸怩たる思いでした。
屈辱感にまみれながら、
「ぁっ・・ぁっ・・ぁっ」
そのまま2回目をはじめてしまいます。

まるで、生き恥をさらしているような気持ちでした。
男の子に見守られながら、
「ぁぁっ・・ぁっ・・ぁっ」
2度目のオナニーをしている私がいます。
内気くんが、にやにやしていました。

「ああん。。。」

恥をしのんで、引き絞るような声を漏らします。
あそこを弄りながら、
「だめえ、だめえイっちゃう・・・」
ひとりで悶えてみせました。
コンソールボックスに左足を突っぱねて、からだをよじらせます。

「いやあ、だめえ、だめえ」

今度は、すぐでした。
あっという間に絶頂が迫ってきます。
目隠しをしたまま、スカーフの中で泣いていました。

(だって、だって・・・)
(目の前で見てるよ)

内気くんが、にやにや見おろしています。

「ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ」

(イっちゃう・・・イっちゃう、見ないで)
(見ないでえ)

そして、
「ぁぁぁっ!」
再び、私は果てました。

「はあ、はあ、はあ、はあ・・・」

からだのどこにも力が入らず、燃え尽きた私・・・
神経がすり減って、
(だめ、もうだめ)
もはや演技を続けることも困難です。

(ごめんなさい、帰って)
(お願い、もう帰って)

まともに考えることもできませんでした。
いつまでもスマホを向けている男の子に対して、いまさら都合のいい言葉などみつかりません。
いきなり『ばっ』と首を起こして、
「誰っ!?」
切羽詰まった声を放ちます。
次の瞬間には・・・

「きゃっ、キヤァァああああ!!!」

森をつんざくような大きな声で、すさまじい悲鳴をあげる私・・・

猛ダッシュで、彼が逃げていきました。
ものすごい速さで後ろ姿が遠ざかっていきます。
私は、顔に巻いていたスカーフを取りました。

(びっくりさせてごめん)
(こうするしかないの)

やがて聞こえてくる、スクーターの甲高いエンジン音・・・
そのまま、はるか彼方へと消えていきます。

(私みたいな女は)
(ろくな人生を送れないんだろうな)

再び、ぽつんと孤独になる私・・・
でも満足でした。


(PS)あと少しだけ続きます。

汗だくでした。
手早く後始末を済ませて、服を着ます。
車を出していました。
もう、精も根も尽き果てています。

(帰らなきゃ)

事故をおこさないよう気をつけながら、林道を走ります。
もとの野天温泉に戻ろうとしていました。
もう時間がありません。
でも・・・
どうしても汗を流してから帰りたかったのです。

旅館の前を通過して、駐車場に到着しました。
さっきと同じく、いちばん奥のところに車をとめます。

(あ・・・)

自転車が何台もとまっていました。
別に、今となってはもう関係ありません。
さっさとからだを流して、早く帰途につくまでのことです。

(疲れちゃった)

最低限のものだけトートバッグに詰めて、車を降りました。
森の歩道をひとりで歩いていきます。

(鷲鼻さん・・・まゆげさん・・・)
(内気くん・・・)

考えてみれば、不思議な感じがしました。
何の縁もない人たちなのに・・・
こんなに続けざまに・・・

(きっと今、3人とも)
(私のこと思い浮かべてるだろうな)

日差しに汗が止まりませんでした。
とにかく、もう時間がありません。

例の階段道を下っていきました。
視界が開けると、やっぱり先客がいます。

(あれ?)

若い人たちでした。
男の子2人と、女の子1人がいっしょに男湯につかっているのが見えます。

階段道を下りきって、男湯スペースに降り立ちました。

高校生ぐらいの感じでした。
さっき自転車がとまっていましたから、地元の子たちなのでしょう。
まるでプールにでも来ているかのように、3人とも水着をつけてお湯につかっています。

(お風呂だよ?)
(なにやってんだよ)

ちょっとイラッとしましたが、構っている暇はありません。

怒られるとでも思ったのでしょうか。
みんな警戒した顔で私を見ていました。

見て見ぬふりをして、にこにこと男湯スペースを通り抜けます。

(知ったことじゃない)

急がないと、帰りつくのが夜遅くなってしまいます。
それよりなにより、もう私はへとへとでした。

木戸を開けて中に入ろうと・・・(ん?)・・・中から男の子の声が聞こえてきます。
石垣をまわりこむと、
(あっ)
そこにいた2人が、現れた私を見て固まっていました。
やはり水着をつけた男の子と女の子が、仲良くお風呂に入っています。

(こっちもかよ)

イライライラっとしました。

(急いでるのに)
(私が注意しなきゃいけないの?)

瞬間的に、頭の中がスパークします。
ちょっと羨ましいというか、
(なんだよ、おまえたち)
私にはない青春の1コマを見せつけられているような嫉妬心もありました。
大人げないのもわかっていますが、またも無性に腹が立ってきます。

(かまうもんか)

昔、この温泉で外国人のふりをしたときのことが・・・
なぜか瞬時に頭をよぎります。
とっさに、
「Oh, desculpe」
にこにこ顔をつくっていました。
そのまま引き返してしまいます。

(やってやる)

男3人、女2人・・・
リスクがないわけじゃありません。
でも、いわゆる不良っぽい子たちではありませんでした。

木戸から男湯スペースに出て、最初の3人のほうに戻ります。
ニコニコと、
「Olá」「Tudo bem?」
陽気に挨拶を投げかけました。
おそらく耳にしたこともないであろう言語に、高校生たちが顔を見合わせています。

(どきどきどき)

適当な岩の上に、トートを置きました。
そのまま服を脱ぎはじめます。

(かまうもんか)
(ここはお風呂なんだから)

戸惑い顔を向けられていました。
カットソーとスカートを脱いで、下着姿になった私・・・
男の子たちの表情が固まっています。
躊躇いはありませんでした。

(あんたたちが)
(女湯まで占拠するからだ)

ブラを外して、胸をさらけ出します。
まる出しにしたおっぱいに、彼らの目が釘付けになっていました。

(ひいいん)

女の子がびっくりしています。
やめさせてくれようと、
「Here・・・here is」
いちおう英語で話しかけてくれようとしていました。

何もわかっていないふりをして、パンツもするっと下ろします。

(イヤああぁ)

真っ裸になっていました。
言葉を失ったまま、男の子たちが呆然と見ています。
その彼らの顔を見て、死ぬほど興奮しました。

「here is・・・this side spa・・・This is for men」

カタコト英語の女の子に・・・
不思議そうな顔で、
「Eu não sei do que você está falando」
素っ裸のまま立ちつくしてみせます。
その間も、舐めまわすような視線を私に浴びせてくる男の子たち・・・

(ひいん、だめえ)
(ひいいい)

強烈でした。
あまりの恥ずかしさに、胃がきゅうっと締め付けられます。
あっけらかんとした表情で、
(いやん、いやん)
思春期真っ盛りの男の子に近づいていくお姉さん・・・

(きゃあああ)

私も、ざぶっとお湯に入りました。
彼らが露骨に興奮しているのがわかります。
その様子にいたたまれなくなったのか、
「もう、イヤあだぁ」
女の子が立ち上がって、お湯から出ていました。
そのまま、逃げるように女湯スペースのほうへと駆け込んでいきます。

(どきどきどき)

「ガイジン?ガイジン?」
「やべえだろ、これ」

(どきどきどき)

怖くはありませんでした。
肩までお湯につかって、
「Sinto me bem」
陽気にニコニコしてみせます。

「まっぱだぞ、超すげえ」
「こ、こんにちは」

挨拶されましたが、言葉が通じていないふりをしました。
私の顔をじろじろ見ながら、ふたりでひそひそ言っています。

「なに人だろ?」
「日系のガイジンかな」

あっちに行った女の子から聞きつけたのでしょう。
入れ替わるように、向こうにいた男の子が女湯スペースの木戸を開けて出てきます。
お風呂に入っている私を見て、
『うおっ』
そんなふうに目を丸くしていました。
嬉々とした表情で、彼もお湯に入ってきます。

(ひいいいん)

まさに羞恥の極みでした。
男子高校生3人といっしょにお湯につかっています。
しかも、全裸なのは私ひとりだけ・・・

「ぜんぜん言葉が通じねーよ」
「ガイジンみたいだぜ」

私は、野天風呂を満喫しているように見せていました。
陽気なキャラを装って、
「Belo cenário!」
気分よさげに終始ニコニコしています。

お湯につかったまま、くるっとからだを反転させました。
彼らに後ろを向いた状態から・・・
両手を伸ばして、湯だまりのふちの上に載せます。

「ざぼん、ざぼん」

少しだけ、バタ足をしてみせました。
まるで子どもみたいに、露天の開放感を味わっているふりをしてみせます。
緩慢な動きで、
「じゃぼん、じゃぼん」
2度3度とお湯のしぶきをあげていました。
そうかと思えば・・・

(どきどきどき)

湯面に腰を持ち上げて、ぷかっぷかっとお尻を浮かせます。
男の子たちの囁き声が、耳に届いてきていました。

「見えそう、やべえ」
「ま〇こ見える」

心臓のどきどきがとまりません。
まさに、非日常の興奮そのものを味わっていました。
わざとらしくならない程度に、
「ざぶっ、ざぶっ」
きわどい部分をチラつかせてあげます。
そして、

「ざばっ」

お湯から立ち上がりました。
少しのぼせたかのように、そのまま岩風呂のふちに腰かけます。

(だめぇ)

ここぞとばかりに浴びせられる、容赦のない視線・・・

(ひいっ、ひいいっ)
(耐えられない)

3人とも、いやらしさ全開の目をしていました。
そのまま素っ裸で向き合っている自分に、涙が出そうです。

「小っちぇえおっぱいだな」
「てか、貧乳すぎるだろ」

あまりの屈辱に、頭がどうにかなりそうでした。

(そんなふうに言わないで)

「でも見ろよ、乳首の(ヒソヒソヒソ)・・・」
「ほんとだ(ヒソヒソヒソ)・・・」

高校生に自分の胸を品評されながら・・・
その言葉のひとつひとつにプライドをえぐられている私がいます。

「横顔、えろいけどな」
「がっかりおっぱいだよな」

耳まで『かーっ』と熱くなりました。
何もわからないふりをして、なおも彼らの囁きに聞き入ります。

「25歳ぐらいかな」
「もう少し上だろ?」

真ん中の子が、
「もうちょっと脚ひらけよ」
にやにや顔で、いちばん興奮していました。

「ま〇こ、ま〇こ」
「ちょうど俺んとこから見えてんだよ」

そんな彼に、
「O que aconteceu?」
微笑みながらも、きょとんとした目を向けてみせます。

「やべえ、この人」
「俺のこと、みつめちゃってるよ」

通じ合えないふりをしました。
私は、わからないという顔をするだけです。
あたかも野天の温泉を満喫しているかのように、ニコニコしてみせました。

「なんか、超カワイイんだけど」
「やべえ、ま〇こ見えてるし」

(もうだめ、もうだめ)
(耐えられない)

外見は、なんら日本人と変わらないこの女の人・・・
通じなくても関係ないかのように、
「Estou feliz que vocês está?」
自然体のまま、にこやかに話しかけてあげます。

「ぜんぜんわかんねえ」
「英語もだめみたいだぞ」

死にそうなほど興奮している自分がいました。
からだをひねるようにして、後ろの渓流に目をやります。

適当に一点を指し示しながら、
「que é aquilo?」
おもむろに立ち上がりました。
くるっと彼らに背を向けて、岩風呂のふちに両手をつきます。

(ああん、だめえ)

もういちど同じあたりを指さしてみせました。
顔だけ振り向いて、
「É constrangedor」
男の子たちに話しかけます。

「Que vês?」
「Tirar o fôlego, não é?」

言葉の意味もわからないくせに、
「イエース、イエース」
ここぞとばかりに私の真後ろに詰め寄ってくる男子3人・・・

気持ちが倒錯していくような感覚で、昔の自分を思い出していました。

高校時代、陸上にうちこんでいたあのころ・・・
男の子と話すだけでも緊張してだめだった内気な私・・・
そんな私が、

(いやんいやん)
(高校生の前でなんて)

お湯の中に立ったまま、上半身を護岸のコンクリートに乗り出してしまいます。
しきりに、
「Vistas bonitas」
渓流の向こうを指さしてみせました。

「うわ、まる見え」
「おま〇こ(ヒソヒソヒソ)・・・」

(ひいいん)

まる出しのお尻を彼らに向けたまま、泣きそうになるのを必死にこらえます。

(嫌あぁん)
(見ないで、見ないで。。。)

「(ヒソヒソヒソ)・・・」
「(ヒソヒソ)・・・」

(恥ずかしいよぉ。。。)

振り返って、再びじゃぼんとお湯に身を沈めた私・・・
ものすごい屈辱でした。
目の前に、
(ひいいいいん)
私を見ながらニヤつく顔が並んでいます。

「Muito envergonhado」
「Eu quero voltar」

間を保つことができず、すぐに立ち上がって岩風呂からあがっていました。
トートからスポーツタオルを取り出して、からだを拭きます。

(ああん、もうだめ)
(そんな目で見ないで)

お湯の中から、3人が『じーっ』とヌードの私を見上げていました。
とにかく必死に自分の目に焼きつけているという感じです。

頑張って、最後まで明るいキャラを通しました。
股間を隠すこともなく、
「É verdade, eu sou japonesa」
一糸まとわぬ姿のままで、にこにこと話しかけてあげます。
ちょっと卑屈な気持ちになっていました。

(どうせ私なんて)
(いつもひとりぼっち。。。)

神奈川に帰ったら、また職探しの地味な生活です。

パンツもはかずに、全裸のままボディクリームを塗ってみせました。
無造作に足幅を開いているお姉さんを前に、男の子たちがにやにやしています。

(私なんて)
(誰も心配してくれる人がいない)

さりげなく後ろ向きになって、手のひらにクリームを足しました。
屈託ない声色で、
「Por favor, não olhe」
どこまでも陽気なふりを続けてみせます。

(ああああ、もうダメえ)

すぐ後ろから『見上げている』彼らの目の前で、思いっきり前かがみになりました。
こんなにキレイな女の人が・・・
お尻の穴までまる見えにしたまま、
「Por favor, olhe para o buraco nas nádegas」
無頓着な感じで自分の脚にクリームを伸ばしていきます。

(ひいいん、恥ずかしい。。。)
(そんなとこ見ないで)

さっき真ん中にいたあの子が、
「ざばっ」
いきなりお湯からあがって近づいてきました。
心の中で、瞬時に緊張が走ります。

「O que?」

にやにや顔を隠しきれていない彼でした。
身振りを交えて、
「ヘルプ、ユー」
クリームを塗ってくれるような仕草をしてきます。

「Não, obrigada」

きっぱりと断りました。
親切心で言ってくれているのではないことぐらい、私にだってわかります。
その代わりに、
(どきどきどき)
大仰に両腕を開いて、歩み寄っていく私・・・

「Obrigada」

ハグしてあげました。
すっぽんぽんのまま、相手のからだに『ぎゅうっ』と抱きついてあげます。
左右の頬に、ちゅっちゅっとしてやって・・・
「Deus o abençôe」
ニコニコ顔で彼から離れました。

手早く服を身につけて、トートバッグを持ちます。

「Tchau tchau」

その場をあとにしました。
階段道を上がりながらも、胸の鼓動の激しさが尋常ではありません。
出会ってから、わずか10分か15分限りの出来事・・・

(危ない・・・危ない・・・)
(さすがに無茶しすぎ)

どきどき興奮したまま、駐車場の車へと戻る私でした。


(PS)
あまり上達しなかったので、私の話し言葉はかなりメチャメチャなはずです。
彼らの会話も、実際にはかなり方言と訛りが出ていて、ここに書いたような標準語ではありません。

もしかしたら、あとでちょっとお願いごとを書かせていただくかもしれません。
長文に最後までお付き合いいただいて、ありがとうございました。


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