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温泉
Nさんと別れた私は、もとの温泉地に向けて車を運転していました。
(Nさん、喜んでくれたかな)
山の中の国道をひた走りながら、
(真相を知ったらショックかなあ)
あの人に対して自分がやったことについて、それなりに罪悪感がないわけではありません。
いつも、他人を利用してばかりいる私・・・
(でも・・・)
(あの人も嬉しそうにしてた)
あの人は、私の『ファン』・・・
自分なんかにそんな存在がいること自体が不思議な感覚でした。
私なんて、本当に何の取り柄もないつまらない人間なのに。
二度とお会いすることはないですが、
(良い思い出になってくれてたらいいな)
車を運転しながらも、そんなふうに願ってやまない気持ちの『私』です。
林道に入りました。
以前から私の投稿を読んでくださっている方たちの中には・・・
私がお手軽にちょくちょくこの野天温泉を訪れているようにお思いの人もいるようですが、とんでもありません。
ここは○○県のはるか山の中です。
私の住んでいる関東からは、とてつもなく遠い田舎にありました。
そうそう気軽に来られるような場所ではありません。
でも・・・今夜は、ここの隣の県にある私の実家に帰ることにしてありました。
まだ、多少は時間があります。
このまま帰るのは、もったいないというものでした。
(それにしても腹が立つ)
迷惑な『A』のことが頭をよぎって、ちょっとだけイラっとしている自分がいます。
(相手選びに失敗しなかったら)
(愛媛でも、きっとうまくいったはずだったのに)
あのときはあのときで、自分なりに綿密なプランを組み立てていた私でした。
(まあ、しょうがない)
(もう忘れよう)
私には、今がある・・・
大好きな『あの場所』が、また近づいてきてる・・・
(お願い・・・誰かいて・・・)
(こっそり覗かせてあげるから)
さっきNさんとおそばを食べた、お食事処のある旅館・・・
そしてまた同じく1軒、2軒と小さな旅館の前を通過していきます。
野天風呂への入口につながる駐車場が見えてきました。
すでに車が1台とまっています。
ナンバープレートを見ると、このあたりのものではありませんでした。
(どうする?)
行ってみなければ何もはじまりません。
どことなく、すべて吹っ切れたような気持ちでした。
最低限の荷物だけをトートバッグに詰めて、車を降ります。
スマホとデジカメは・・・
ちょっと迷いましたが、持っていくのはやめておきました。
万一紛失でもしようものなら、さっきNさんに撮られた写真を他人に見られかねません。
車のキーも、いつものように『ある場所』に隠しました。
森林の中へと入っていきます。
なんだか不思議な感じでした。
ほんの数時間前には、Nさんといっしょに歩いたこの場所・・・
今の私は、もうひとりぼっちです。
(ごめんね、Nさん)
(わたし、ひとりのほうが何でもできるの)
森の歩道をすすんだ先の途中から、横の階段道を下りていきました。
崖に沿うような急こう配を曲がっていくと、男湯スペースが見えてきます。
(誰かいる)
男性が2人、岩風呂につかっているのが見えました。
たぶん、私と同世代ぐらいの人たちです。
私が階段道に現れると同時に、彼らも私の存在にすぐ気づいたようでした。
じっとこっちを見上げているのがわかります。
階段道を下りきりました。
男湯スペースの中を突っ切るように、ふたりに近づいていきます。
ずっと見られていました。
・・・そう、じろじろと不自然なぐらいに。
(どきどきどき)
現われた私のことを、この人たちは『観察』するような目で見ています。
はっきりと予感のようなものを覚えていました。
私はにこっと、
「こんにちは」
かたちだけの挨拶をします。
にこっと・・・と言うよりは、ニヤッと・・・
彼らも『こんにちは』と挨拶を返してきました。
ひとりが、無意識に護岸のコンクリートのほうにちらっと目をやっています。
(知ってるな)
もし私が、ここに初めて来た『普通』の女だったら・・・
何も気づくことはなかったでしょう。
でも、私にはお見通しでした。
(この人たちは)
(女湯を覗けることを知ってる)
そのコンクリート部分から下におりれば、護岸に沿って女湯のすだれ前まで行くことが可能です。
この男たちは、それを知っているということでした。
駐車場にとまっていた車は県外ナンバーでしたから、知っていてわざわざここに訪ねて来ている可能性も捨てきれません。
もしかしたら、この温泉での覗きの常習者なのかもしれない・・・
それ目的でここに来た奴らなのかもしれない・・・
経験上(?)、瞬時にそう感じていました。
ぱっと見、ちょっと目を引く容姿の私です。
もしそうなら、彼らにとっては願ってもないターゲットが訪ねて来た状況のはずでした。
(こんな美人じゃ)
(もう覗かずにいられないでしょ?)
無垢なふりをして、
「あの・・・」
その場に立ち止まります。
私は、まったく動じていませんでした。
「〇〇の湯って、ここですよね?」
わざとこちらから話しかけてみます。
もう片方の男性が、
「そうですよ」
近づいてきた私をまじまじと見ながら返事をしてくれました。
その細かい挙動のひとつひとつを、注意深く観察します。
目線の動き・・・
口もとのゆるみ・・・
「すみません、ありがとうございます」
私は、木戸に向かって歩きだしました。
ふたりとも、舐めるような目で私のことを見ています。
(間違いない)
(こいつら『覗き』だ)
大チャンスだと思いました。
まったく焦ることなく、
(だいじょうぶ)
完全に冷静さを保ったままの自分がいます。
(私が木戸を抜けると同時に・・・)
(あのふたりは、すぐさま護岸の下に降りようとするはず)
こんなの自慢できることではないですが、やはり私のほうが一枚上手でした。
この先の彼らの行動を、すっかり読むことができています。
「ガタッ」
木戸を開けて、中に入りました。
再びしっかり閉めた私は、その場にとどまります。
木戸の隙間から、そっとあのふたりの様子を窺いました。
案の定、
「ざばざばっ」
ふたりともお湯の中から立ち上がって、急いで腰にタオルを巻いています。
どう説明したらいいのかわかりませんが・・・
私は、『余裕』でした。
彼らの印象は、あまり良いとはいえません。
でも、女を襲ってくるほどの奴らという感じでもありませんでした。
(なんて馬鹿な男たち)
(バレバレだとも知らないで)
むしろ相手の男たちを手玉に取ってやっているような感覚で、ふたりの行動を観察します。
(こんなにいい女が現れちゃって)
(居ても立ってもいられないでしょ?)
注目していました。
彼らがスマホやカメラを手にするようなら、即座に見切りをつけて帰るまでです。
でも、
(よしっ)
手ぶらのまま、コンクリート部分から護岸の下に降りていく彼ら・・・
私は、石垣をまわりこんで女湯スペースに行きました。
(もし、Nさんがいるときに)
(彼らが来てたらどうなってたかな)
ふとそんなことを思いましたが、いまそれを考えたって意味はありません。
スニーカーを脱ぎながら、気持ちの昂ぶりを感じていました。
あのふたり、
(どきどきだろうな)
あれだけ私の顔をじろじろ見ていたのです。
内心では『絶好のカモが現れた』と、ニヤけていたに違いありませんでした。
手近な岩の上にトートを置いて、靴下を脱ぎます。
(来たっ)
パーカーを脱いでいるときに、すだれの隙間がかすかに明暗しました。
もともと女湯スペースを外の視線から遮るために立てかけられている『すだれ』です。
でも、古くて隙間だらけのものでした。
近づいて顔を寄せれば、中の女湯を覗き放題です。
何度もここを使っている私には、そこに人がいるのがはっきりわかりました。
(ああん、だめだめ)
(脱いじゃだめえ)
ジーンズを下ろしながら、わざと自虐的な気持ちを煽っていきます。
何も気づいていないふりをしていました。
(男たちがそこにいるよ)
(それなのに・・・)
何も知らない覗きの被害者になりきりながら、あたりまえのようにブラを外します。
胸を出して、
(ひいん、だめえ)
素知らぬ顔をしてみせる自分に興奮しました。
(イヤあん、見ないで)
(恥ずかしい)
おっぱいをまる見えにしたまま、もったいぶるように時間を稼ぎます。
トートバッグからタオルを取り出して、丁寧にたたみ直してから隣の岩に置きました。
(ああん、覗かれてる。。。)
見られているとわかっていて・・・
そのまま、
(だめえ、だめ)
パンツに手をかけます。
(これを脱いだら)
(脱いだら・・・)
するするっと下ろしました。
こんな『美人』が、あっという間に真っ裸です。
(ひいいいん)
責められるべきは、そこに隠れて覗いている彼らのほうでした。
アンダーヘアもまる出しに、
(いやん、いやあん)
奴らの目の前でかけ湯をするこの女・・・
私は、なにも悪くありません。
「じゃぼん」
湯だまりに入りました。
どっぷり肩までつかります。
(あああん、近いよ)
(恥ずかしい)
最高でした。
前回ここを訪ねて来たときの、鷲鼻さんとまゆげさん・・・
あのときとは全然ちがいます。
どう思われようとかまいませんでした。
今そこにいる彼らふたりに対して、特別な思い入れなどありません。
(気づかないふり)
(慎重に、慎重に・・・)
私の顔をじっくり眺めさせました。
お湯につかったまま、
「ふうーっ」
ほっとしたように息をつきます。
いま自分たちがどれほどキレイな女のお風呂を覗くことができているのか・・・
そこにいるふたりに幸運を噛みしめさせてやりました。
(見てる・・・見てるよう)
文句なしのシチュエーションです。
出来すぎなぐらいの気がしなくもありませんでした。
でも・・・
だめなときはダメでも、実際こういう『いいとき』もあるのです。
彼らのことなんて知ったことではありませんでした。
私は、自分がドキドキできさえすればいい・・・
「ふうーぅ」
懸命に葛藤の気持ちと闘います。
すだれとの距離は、3mぐらい・・・
お湯から出れば、全裸のまま隠れ場所はありません。
温泉を満喫しているかのように、景色にみとれているふりをしていました。
いざとなると、
(ああ、やめて)
どうしても勇気がでないのはいつものことです。
(ねえねえ)
(そんなに女のはだかが見たいの?)
恥ずかしくてたまりませんでした。
彼らはきっと、私がお湯から出るのを『いまかいまか』と待っているはずです。
(ねえねえ)
(『この子』のはだかが見たい?)
焦らしてやりました。
お上品な顔つきで、
「ふうーう」
のんびりくつろいでみせます。
(イヤあん、そこにいる)
(恥ずかしくてお湯からあがれない)
自然体を意識しました。
さりげなく演技をはじめている『私』がいます。
肩までお湯につかったまま、小さく口を動かしました。
すっかりリラックスしているかのように、
「・・breaking・・、・・you・・・、・・stree・・」
鼻歌を口ずさみます。
(自然体で・・・)
気持ちよさそうに『ぼーっ』とした顔のまま・・・
声にもならないような微かな声で、メロディーを口にしてみせていました。
「・・it・・、・・ness・・me・、・・・・」
鼻歌を続けながら・・・
腕を湯面から持ち上げて、
「じゃばっ、じゃばっ」
なんとなく、なにかの振り付けをなぞっている感じを出します。
(どきどきどき)
私が頭に思い浮かべていたのは・・・
向こうで暮らしていたときに、ちょっとだけかじったジャズダンス・・・
(むりだ、むりだ・・・)
(思った以上に恥ずかしすぎる)
「ふーうっ」
ふと、急に『真顔』になってみせました。
ひょいと横のスペースを見ます。
思いたったかのように・・・
そのまま『ざばっ』と、お湯から出る私・・・
(ひいいい)
確かめることはできなくても、はっきりとすだれからの視線を感じていました。
すっぽんぽんのまま、
(ひいん、ひいいん)
彼らの前で『気をつけ』するように棒立ちになります。
(見ないでえ)
恥ずかしすぎて死ぬかと思いました。
いかにも『ダンス教室に通いはじめ』みたいな女になりきって・・・
両足を揃えたまま、
「one,・・two,・・three,・・」
かかとを上げ下げしてリズムを取ります。
(ああん、おっぱいイヤあ)
習いたての振り付けを確認しているかのように、上下左右に腕をふりかざしました。
そんな私の表情は、お上品そのものです。
思いだし思いだしという感じで・・・
たどたどしく、
「・・just・・・all・・・」
全裸のまま彼らの前で全身をくねらせてみせます。
(こんなの、)
(恥ずかしい。。。)
ものすごい興奮でした。
一部始終の行いを男に見られています。
貧弱な胸を弾ませて、
「らら、らら、らら」
おぼつかないながらも、下手くそなりに振り付けをたどっているふりをしました。
ときどき『間違えた』という感じでニコニコしてみせては・・・
ひとりで照れた表情を浮かべて、ぎこちなくステップを踏みなおします。
「two・・three・・」
目の前に広がる美しい景色と・・・
そんな場所に自分ひとりしかいないという開放感・・・
素っ裸のまま、男たちの前で赤っ恥をかき続けてやりました。
何度も脚をクロスさせて、
「・・just・・、・・cause・・・」
鼻歌まじりにターンを踏みます。
何も気づいていない女になりきって、楽しそうに振り付けを反復するふりをしていました。
「if・・・、soft・・」
そうかと思えば、きゅっと『お澄まし顔』をする私・・・
メロディをふんふん口ずさみながら、たどたどしく左右に腰をくねらせます。
(もうだめ。。。)
(死んじゃう。。。)
動きをとめて、大きく息をつきました。
鼻の下を伸ばしながら、ニヤニヤ見物しているに違いない男たち・・・
まさに特等席に陣取っている気分で、この女の振る舞いを眺めているはずです。
(覗かれてるなんて知ったら)
(この子、きっとショックで泣いちゃうよ?)
その彼らが見ている前で、堂々と仁王立ちになりました。
股の割れ目を手で隠すこともなく、
「うっうー・・・」
気持ちよさそうに、立ったまま全身でぐーっと『伸び』をします。
からだをぶるぶる震わせて・・・
「ふうう」
大きく息を吐きながら、脱力しました。
(見てよ、この無垢な顔。。。)
(ぜんぜんあなたたちのことに気づいてない)
すらりとその場に立ちつくしたまま・・・
火照ったからだを冷ますかのように、渓谷の風にあたってみせています。
ふと・・・
顔も知らない、あの『A』のことが脳裏をよぎりました。
(あんたなんか一生目にすることのない)
(この女のお風呂姿・・・)
自分で演じているこの『お上品』な女に、さらに追い打ちをかけてやります。
山のほうを眺める感じで、すだれに背を向けました。
そして・・・
立ち止まったまま、すとんと目線を足もとに落としてみせます。
(覗き男たちめ)
(おまえらなんか)
(これでも見て喜んでろ)
剥がれかけたペディキュアを気にする素振りをしました。
思いっきり前かがみになって・・・
(ひいいいん)
彼らの眼前で、この女の『肛門』をまる見えにしてやります。
(ほら、見ろよ)
(こんな美人の尻の穴だぞ)
たちまち自尊心が悲鳴をあげますが・・・
そんな様子は、おくびにも出しませんでした。
(あとでオナニーするんだろ?)
(私を思い出しながら)
『A』にあてつけてやるような気持ちで、覗き男たちに大サービスしてやります。
さりげなく、
(この子のあそこも見ていいよ)
左右の足幅を開いてみせました。
自然体のふりをして、『恥部』をまる見えにしてあげます。
(ほらほら、こんなにキレイな子の)
(ばっちり見られて嬉しいでしょ?)
前かがみのまま、のんびりとペディキュアの足指をなぞってみせていました。
悔しがる『A』を想像しながら、
(ひいいん。。。ひいいいい。。。)
背後に向けた恥ずかしすぎるこの格好・・・
あくまでも私は、何も気づいていない『楚々』とした女です。
(ひいん、もうだめ)
何食わぬ顔をして、
「じゃぼん」
もとのお湯の中に戻りました。
(どきどきどき)
(どきどきどき)
興奮しすぎて、頭に血がのぼってしまっています。
(どきどきどき)
油断するわけにはいきませんでした。
とにかく、最後まで『何も知らない女』を貫き通さなければなりません。
(どきどきどき)
まだ、ふたりともそこにいました。
なかなか心臓のどきどきがおさまってくれません。
(顔を見ないで)
(恥ずかしすぎる)
何も気づいていないふりをして・・・
自然体を装っている私・・・
(見ないでってば)
(恥ずかしいよ)
そして・・・
最後にもういちど味わおうと思いました。
(めいっぱい自分の羞恥心を煽りながら)
(タオルで大胆にからだを拭こう)
そんなイメージを膨らませます。
Aさん・・・
(あなたじゃなくて残念だったね)
こんな『覗き男たち』でさえ、私のことを見放題なのに。
Nさんだって言ってくれてた・・・
『白くて細くて、おめめぱっちり』な、私・・・
(恥ずかしい)
(恥ずかしいよう。。。)
邪魔する者はどこにもいませんでした。
誰かに迷惑をかけているわけでもありません。
(Nさん、喜んでくれたかな)
山の中の国道をひた走りながら、
(真相を知ったらショックかなあ)
あの人に対して自分がやったことについて、それなりに罪悪感がないわけではありません。
いつも、他人を利用してばかりいる私・・・
(でも・・・)
(あの人も嬉しそうにしてた)
あの人は、私の『ファン』・・・
自分なんかにそんな存在がいること自体が不思議な感覚でした。
私なんて、本当に何の取り柄もないつまらない人間なのに。
二度とお会いすることはないですが、
(良い思い出になってくれてたらいいな)
車を運転しながらも、そんなふうに願ってやまない気持ちの『私』です。
林道に入りました。
以前から私の投稿を読んでくださっている方たちの中には・・・
私がお手軽にちょくちょくこの野天温泉を訪れているようにお思いの人もいるようですが、とんでもありません。
ここは○○県のはるか山の中です。
私の住んでいる関東からは、とてつもなく遠い田舎にありました。
そうそう気軽に来られるような場所ではありません。
でも・・・今夜は、ここの隣の県にある私の実家に帰ることにしてありました。
まだ、多少は時間があります。
このまま帰るのは、もったいないというものでした。
(それにしても腹が立つ)
迷惑な『A』のことが頭をよぎって、ちょっとだけイラっとしている自分がいます。
(相手選びに失敗しなかったら)
(愛媛でも、きっとうまくいったはずだったのに)
あのときはあのときで、自分なりに綿密なプランを組み立てていた私でした。
(まあ、しょうがない)
(もう忘れよう)
私には、今がある・・・
大好きな『あの場所』が、また近づいてきてる・・・
(お願い・・・誰かいて・・・)
(こっそり覗かせてあげるから)
さっきNさんとおそばを食べた、お食事処のある旅館・・・
そしてまた同じく1軒、2軒と小さな旅館の前を通過していきます。
野天風呂への入口につながる駐車場が見えてきました。
すでに車が1台とまっています。
ナンバープレートを見ると、このあたりのものではありませんでした。
(どうする?)
行ってみなければ何もはじまりません。
どことなく、すべて吹っ切れたような気持ちでした。
最低限の荷物だけをトートバッグに詰めて、車を降ります。
スマホとデジカメは・・・
ちょっと迷いましたが、持っていくのはやめておきました。
万一紛失でもしようものなら、さっきNさんに撮られた写真を他人に見られかねません。
車のキーも、いつものように『ある場所』に隠しました。
森林の中へと入っていきます。
なんだか不思議な感じでした。
ほんの数時間前には、Nさんといっしょに歩いたこの場所・・・
今の私は、もうひとりぼっちです。
(ごめんね、Nさん)
(わたし、ひとりのほうが何でもできるの)
森の歩道をすすんだ先の途中から、横の階段道を下りていきました。
崖に沿うような急こう配を曲がっていくと、男湯スペースが見えてきます。
(誰かいる)
男性が2人、岩風呂につかっているのが見えました。
たぶん、私と同世代ぐらいの人たちです。
私が階段道に現れると同時に、彼らも私の存在にすぐ気づいたようでした。
じっとこっちを見上げているのがわかります。
階段道を下りきりました。
男湯スペースの中を突っ切るように、ふたりに近づいていきます。
ずっと見られていました。
・・・そう、じろじろと不自然なぐらいに。
(どきどきどき)
現われた私のことを、この人たちは『観察』するような目で見ています。
はっきりと予感のようなものを覚えていました。
私はにこっと、
「こんにちは」
かたちだけの挨拶をします。
にこっと・・・と言うよりは、ニヤッと・・・
彼らも『こんにちは』と挨拶を返してきました。
ひとりが、無意識に護岸のコンクリートのほうにちらっと目をやっています。
(知ってるな)
もし私が、ここに初めて来た『普通』の女だったら・・・
何も気づくことはなかったでしょう。
でも、私にはお見通しでした。
(この人たちは)
(女湯を覗けることを知ってる)
そのコンクリート部分から下におりれば、護岸に沿って女湯のすだれ前まで行くことが可能です。
この男たちは、それを知っているということでした。
駐車場にとまっていた車は県外ナンバーでしたから、知っていてわざわざここに訪ねて来ている可能性も捨てきれません。
もしかしたら、この温泉での覗きの常習者なのかもしれない・・・
それ目的でここに来た奴らなのかもしれない・・・
経験上(?)、瞬時にそう感じていました。
ぱっと見、ちょっと目を引く容姿の私です。
もしそうなら、彼らにとっては願ってもないターゲットが訪ねて来た状況のはずでした。
(こんな美人じゃ)
(もう覗かずにいられないでしょ?)
無垢なふりをして、
「あの・・・」
その場に立ち止まります。
私は、まったく動じていませんでした。
「〇〇の湯って、ここですよね?」
わざとこちらから話しかけてみます。
もう片方の男性が、
「そうですよ」
近づいてきた私をまじまじと見ながら返事をしてくれました。
その細かい挙動のひとつひとつを、注意深く観察します。
目線の動き・・・
口もとのゆるみ・・・
「すみません、ありがとうございます」
私は、木戸に向かって歩きだしました。
ふたりとも、舐めるような目で私のことを見ています。
(間違いない)
(こいつら『覗き』だ)
大チャンスだと思いました。
まったく焦ることなく、
(だいじょうぶ)
完全に冷静さを保ったままの自分がいます。
(私が木戸を抜けると同時に・・・)
(あのふたりは、すぐさま護岸の下に降りようとするはず)
こんなの自慢できることではないですが、やはり私のほうが一枚上手でした。
この先の彼らの行動を、すっかり読むことができています。
「ガタッ」
木戸を開けて、中に入りました。
再びしっかり閉めた私は、その場にとどまります。
木戸の隙間から、そっとあのふたりの様子を窺いました。
案の定、
「ざばざばっ」
ふたりともお湯の中から立ち上がって、急いで腰にタオルを巻いています。
どう説明したらいいのかわかりませんが・・・
私は、『余裕』でした。
彼らの印象は、あまり良いとはいえません。
でも、女を襲ってくるほどの奴らという感じでもありませんでした。
(なんて馬鹿な男たち)
(バレバレだとも知らないで)
むしろ相手の男たちを手玉に取ってやっているような感覚で、ふたりの行動を観察します。
(こんなにいい女が現れちゃって)
(居ても立ってもいられないでしょ?)
注目していました。
彼らがスマホやカメラを手にするようなら、即座に見切りをつけて帰るまでです。
でも、
(よしっ)
手ぶらのまま、コンクリート部分から護岸の下に降りていく彼ら・・・
私は、石垣をまわりこんで女湯スペースに行きました。
(もし、Nさんがいるときに)
(彼らが来てたらどうなってたかな)
ふとそんなことを思いましたが、いまそれを考えたって意味はありません。
スニーカーを脱ぎながら、気持ちの昂ぶりを感じていました。
あのふたり、
(どきどきだろうな)
あれだけ私の顔をじろじろ見ていたのです。
内心では『絶好のカモが現れた』と、ニヤけていたに違いありませんでした。
手近な岩の上にトートを置いて、靴下を脱ぎます。
(来たっ)
パーカーを脱いでいるときに、すだれの隙間がかすかに明暗しました。
もともと女湯スペースを外の視線から遮るために立てかけられている『すだれ』です。
でも、古くて隙間だらけのものでした。
近づいて顔を寄せれば、中の女湯を覗き放題です。
何度もここを使っている私には、そこに人がいるのがはっきりわかりました。
(ああん、だめだめ)
(脱いじゃだめえ)
ジーンズを下ろしながら、わざと自虐的な気持ちを煽っていきます。
何も気づいていないふりをしていました。
(男たちがそこにいるよ)
(それなのに・・・)
何も知らない覗きの被害者になりきりながら、あたりまえのようにブラを外します。
胸を出して、
(ひいん、だめえ)
素知らぬ顔をしてみせる自分に興奮しました。
(イヤあん、見ないで)
(恥ずかしい)
おっぱいをまる見えにしたまま、もったいぶるように時間を稼ぎます。
トートバッグからタオルを取り出して、丁寧にたたみ直してから隣の岩に置きました。
(ああん、覗かれてる。。。)
見られているとわかっていて・・・
そのまま、
(だめえ、だめ)
パンツに手をかけます。
(これを脱いだら)
(脱いだら・・・)
するするっと下ろしました。
こんな『美人』が、あっという間に真っ裸です。
(ひいいいん)
責められるべきは、そこに隠れて覗いている彼らのほうでした。
アンダーヘアもまる出しに、
(いやん、いやあん)
奴らの目の前でかけ湯をするこの女・・・
私は、なにも悪くありません。
「じゃぼん」
湯だまりに入りました。
どっぷり肩までつかります。
(あああん、近いよ)
(恥ずかしい)
最高でした。
前回ここを訪ねて来たときの、鷲鼻さんとまゆげさん・・・
あのときとは全然ちがいます。
どう思われようとかまいませんでした。
今そこにいる彼らふたりに対して、特別な思い入れなどありません。
(気づかないふり)
(慎重に、慎重に・・・)
私の顔をじっくり眺めさせました。
お湯につかったまま、
「ふうーっ」
ほっとしたように息をつきます。
いま自分たちがどれほどキレイな女のお風呂を覗くことができているのか・・・
そこにいるふたりに幸運を噛みしめさせてやりました。
(見てる・・・見てるよう)
文句なしのシチュエーションです。
出来すぎなぐらいの気がしなくもありませんでした。
でも・・・
だめなときはダメでも、実際こういう『いいとき』もあるのです。
彼らのことなんて知ったことではありませんでした。
私は、自分がドキドキできさえすればいい・・・
「ふうーぅ」
懸命に葛藤の気持ちと闘います。
すだれとの距離は、3mぐらい・・・
お湯から出れば、全裸のまま隠れ場所はありません。
温泉を満喫しているかのように、景色にみとれているふりをしていました。
いざとなると、
(ああ、やめて)
どうしても勇気がでないのはいつものことです。
(ねえねえ)
(そんなに女のはだかが見たいの?)
恥ずかしくてたまりませんでした。
彼らはきっと、私がお湯から出るのを『いまかいまか』と待っているはずです。
(ねえねえ)
(『この子』のはだかが見たい?)
焦らしてやりました。
お上品な顔つきで、
「ふうーう」
のんびりくつろいでみせます。
(イヤあん、そこにいる)
(恥ずかしくてお湯からあがれない)
自然体を意識しました。
さりげなく演技をはじめている『私』がいます。
肩までお湯につかったまま、小さく口を動かしました。
すっかりリラックスしているかのように、
「・・breaking・・、・・you・・・、・・stree・・」
鼻歌を口ずさみます。
(自然体で・・・)
気持ちよさそうに『ぼーっ』とした顔のまま・・・
声にもならないような微かな声で、メロディーを口にしてみせていました。
「・・it・・、・・ness・・me・、・・・・」
鼻歌を続けながら・・・
腕を湯面から持ち上げて、
「じゃばっ、じゃばっ」
なんとなく、なにかの振り付けをなぞっている感じを出します。
(どきどきどき)
私が頭に思い浮かべていたのは・・・
向こうで暮らしていたときに、ちょっとだけかじったジャズダンス・・・
(むりだ、むりだ・・・)
(思った以上に恥ずかしすぎる)
「ふーうっ」
ふと、急に『真顔』になってみせました。
ひょいと横のスペースを見ます。
思いたったかのように・・・
そのまま『ざばっ』と、お湯から出る私・・・
(ひいいい)
確かめることはできなくても、はっきりとすだれからの視線を感じていました。
すっぽんぽんのまま、
(ひいん、ひいいん)
彼らの前で『気をつけ』するように棒立ちになります。
(見ないでえ)
恥ずかしすぎて死ぬかと思いました。
いかにも『ダンス教室に通いはじめ』みたいな女になりきって・・・
両足を揃えたまま、
「one,・・two,・・three,・・」
かかとを上げ下げしてリズムを取ります。
(ああん、おっぱいイヤあ)
習いたての振り付けを確認しているかのように、上下左右に腕をふりかざしました。
そんな私の表情は、お上品そのものです。
思いだし思いだしという感じで・・・
たどたどしく、
「・・just・・・all・・・」
全裸のまま彼らの前で全身をくねらせてみせます。
(こんなの、)
(恥ずかしい。。。)
ものすごい興奮でした。
一部始終の行いを男に見られています。
貧弱な胸を弾ませて、
「らら、らら、らら」
おぼつかないながらも、下手くそなりに振り付けをたどっているふりをしました。
ときどき『間違えた』という感じでニコニコしてみせては・・・
ひとりで照れた表情を浮かべて、ぎこちなくステップを踏みなおします。
「two・・three・・」
目の前に広がる美しい景色と・・・
そんな場所に自分ひとりしかいないという開放感・・・
素っ裸のまま、男たちの前で赤っ恥をかき続けてやりました。
何度も脚をクロスさせて、
「・・just・・、・・cause・・・」
鼻歌まじりにターンを踏みます。
何も気づいていない女になりきって、楽しそうに振り付けを反復するふりをしていました。
「if・・・、soft・・」
そうかと思えば、きゅっと『お澄まし顔』をする私・・・
メロディをふんふん口ずさみながら、たどたどしく左右に腰をくねらせます。
(もうだめ。。。)
(死んじゃう。。。)
動きをとめて、大きく息をつきました。
鼻の下を伸ばしながら、ニヤニヤ見物しているに違いない男たち・・・
まさに特等席に陣取っている気分で、この女の振る舞いを眺めているはずです。
(覗かれてるなんて知ったら)
(この子、きっとショックで泣いちゃうよ?)
その彼らが見ている前で、堂々と仁王立ちになりました。
股の割れ目を手で隠すこともなく、
「うっうー・・・」
気持ちよさそうに、立ったまま全身でぐーっと『伸び』をします。
からだをぶるぶる震わせて・・・
「ふうう」
大きく息を吐きながら、脱力しました。
(見てよ、この無垢な顔。。。)
(ぜんぜんあなたたちのことに気づいてない)
すらりとその場に立ちつくしたまま・・・
火照ったからだを冷ますかのように、渓谷の風にあたってみせています。
ふと・・・
顔も知らない、あの『A』のことが脳裏をよぎりました。
(あんたなんか一生目にすることのない)
(この女のお風呂姿・・・)
自分で演じているこの『お上品』な女に、さらに追い打ちをかけてやります。
山のほうを眺める感じで、すだれに背を向けました。
そして・・・
立ち止まったまま、すとんと目線を足もとに落としてみせます。
(覗き男たちめ)
(おまえらなんか)
(これでも見て喜んでろ)
剥がれかけたペディキュアを気にする素振りをしました。
思いっきり前かがみになって・・・
(ひいいいん)
彼らの眼前で、この女の『肛門』をまる見えにしてやります。
(ほら、見ろよ)
(こんな美人の尻の穴だぞ)
たちまち自尊心が悲鳴をあげますが・・・
そんな様子は、おくびにも出しませんでした。
(あとでオナニーするんだろ?)
(私を思い出しながら)
『A』にあてつけてやるような気持ちで、覗き男たちに大サービスしてやります。
さりげなく、
(この子のあそこも見ていいよ)
左右の足幅を開いてみせました。
自然体のふりをして、『恥部』をまる見えにしてあげます。
(ほらほら、こんなにキレイな子の)
(ばっちり見られて嬉しいでしょ?)
前かがみのまま、のんびりとペディキュアの足指をなぞってみせていました。
悔しがる『A』を想像しながら、
(ひいいん。。。ひいいいい。。。)
背後に向けた恥ずかしすぎるこの格好・・・
あくまでも私は、何も気づいていない『楚々』とした女です。
(ひいん、もうだめ)
何食わぬ顔をして、
「じゃぼん」
もとのお湯の中に戻りました。
(どきどきどき)
(どきどきどき)
興奮しすぎて、頭に血がのぼってしまっています。
(どきどきどき)
油断するわけにはいきませんでした。
とにかく、最後まで『何も知らない女』を貫き通さなければなりません。
(どきどきどき)
まだ、ふたりともそこにいました。
なかなか心臓のどきどきがおさまってくれません。
(顔を見ないで)
(恥ずかしすぎる)
何も気づいていないふりをして・・・
自然体を装っている私・・・
(見ないでってば)
(恥ずかしいよ)
そして・・・
最後にもういちど味わおうと思いました。
(めいっぱい自分の羞恥心を煽りながら)
(タオルで大胆にからだを拭こう)
そんなイメージを膨らませます。
Aさん・・・
(あなたじゃなくて残念だったね)
こんな『覗き男たち』でさえ、私のことを見放題なのに。
Nさんだって言ってくれてた・・・
『白くて細くて、おめめぱっちり』な、私・・・
(恥ずかしい)
(恥ずかしいよう。。。)
邪魔する者はどこにもいませんでした。
誰かに迷惑をかけているわけでもありません。
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